富士山登山の危険を知って、安全に登るために詳しく解説します。
日本で1番高い独立峰(1つの山で形成されている)で、その美しさから多くの人を魅了しています
登山をしている人なら、1度は登りたいと考えるのではないでしょうか?
しかし富士山では、毎年多くの事故が発生して亡くなってしまう人も多いです。
亡くなってしまう方も多い富士山。
だから、しっかり理解して準備してから、登ってくださいね。
またコースや装備などについては、『富士登山!コース、装備、トレーニング・・・』の記事でも
解説しているので、そちらも参考にしてください。
富士山とはどんな山か
富士山は、標高3.776mの日本一高い独立峰です。
独立峰と言うのは、他の山に繋がって無くて、1つの山で形成されているということです。
標高が高いので木々が育たず、5合目より上は背の高い木がありません。
その為、風が吹いても雨が降っても、遮る物が無いという過酷な自然状況にあります。
また標高が高い独立峰であるために、他の山々とは違った風の流れや雲の発生が起こります
富士登山の危険を知る
多くの事故が発生していますが、閉山した雪の富士山で起こっている訳ではありません。
そして、開山したから安全と考えるのは間違いです。
安全に登山を行うためには、十分な装備と知識・技術も必要です。
1つずつ見ていきましょう。
高山病
富士山は、8合目で標高が3000mに達します。
これは日本アルプスの山々などと、同等の標高なのです。
標高が高いと空気は薄くなり、ゆっくり歩いていても息苦しくなります。
そして脳へ送られる酸素が少なくなると、頭痛・吐き気・めまい等の症状が出ることもあり
これらは、高山病の初期症状です。
高山病を防ぐ
高山病を防ぐには、ゆっくりペースで登り、こまめな休憩と十分な水分補給が大切です。
また時間や日数に余裕があったら、前日に登山口に近い場所の宿をとって1泊しましょう。
それだけでも、高度に体を慣らす効果が期待できます。
高山病について、詳しく解説した記事『登山者必見!高山病の全てを知り・・・』があるので
参考にしてください。
高山病対策
標高が高い所で起こるのが高山病です。
なので症状が酷い場合は、下山すれば治まります。
頭痛薬などを飲むのも良いのですが、眠気が起きたら行動が危険になります。
なので、眠気成分が入って無いものを選びましょう。
また痛み止めは、痛みを抑えるだけで高山病を治す訳ではありません。
痛みが良くなったからと、登って行ったら高山病が悪化して、動けなくなったという事例も
あるので、甘く考えないでください。
天候の変化
山の天気は変わりやすいと言う言葉は聞いた事があると思いますが、富士山は他の山よりも天気の変
化が激しいです。
これも独立峰・標高が高いということから起こっています。
だから、他の山と比べるのでは無く、富士山独自のことを知る必要があると言う訳なのです。
良く見る富士山
遠くから富士山を見ていても分かると思いますが、雲1つ無いスッキリした姿を見る事の方が少
ないと思います。
また富士山に掛かっている雲も、穏やかな雲に見えながら、端っこを見ると尾を引いてる様に見
えることもありますね。
それは風が強いことを表しています。
このように、登山中に急な霧・雨・強風が起こりやすい山なのです。
悪天候になった場合、視界不良による転落や低体温症のリスクが高くなってしまいます。
低体温症については『低体温症とは?・・・』の記事で解説しているで参考にしてください。

滑落や転落
まずは、それぞれの違いから説明しますね。
滑落とは、何もぶつかること無く宙を舞って落ちる事。
転落とは、斜面などを転げるように落ちる事。
以前はこのように分かれていましたが、現在は明確な区別は無いようです。
山岳遭難事故調査報告書があり、どんな事故があるかなども書いてあるので、読むと良いでしょう。
転落事故事例
事例で、花の写真を撮っていた時に、背中から落ちてしまったということが実際に起こっています。
これは他の山々でも多く見受けられる事故です。
特に富士山は、足場が悪くて人が多いという悪い条件ですよね。
なので写真1枚撮る時も、気を抜かず周りに気を付ける必要があるということなのです。

疲労と体力不足
どのコースを使っても、コースタイムは8時間以上になています。
そして、お鉢巡りには1時間30分掛かるので、日帰り登山の計画は立てないでください。
また上の画像のように多くの登山者がいることで、自分のペースで歩くという事が出来ません
休憩を取りたくても、狭い道では立ち止まることさえ出来ないことが多いです。
だから小屋までのコースタイムだけ考えて、余裕があると思ってしまうと大きな落とし穴に落ちてし
まうという訳です。
また空気の薄さも、疲れに繋がります。
トレーニング
その為に、富士山の登山を計画したら、まずは標高に慣れたり体力・筋力のトレーニングが必要です
それは家での筋トレでは無く、日本アルプスの山々へ行き、空気が薄い中での行動体験。
さらに登山者が多くて、自分のペースで歩けないなどの経験を積んでおくと良いでしょう。
もちろん、長時間歩くための筋トレも必要ではありますよ。
富士登山に必要な装備と準備
安全に富士登山を行うためには、以下の装備と準備が必要です。
確認しながら見てください。
登山靴
普通のスニーカーで登るのは止めてください。
砂地もある事から、靴の中に小石が入りやすいため、ハイカットの登山靴を履くのがおすすめです。
またハイカットなら、足首がも守られるので、捻挫対策にも良いですよ。
上のキャラバンは、登山靴に慣れていない初心者にも、履きやすく造られています。
また急な天候の変化にも対応できるように、ゴアテックスが採用されていると良いですね。
キャラバン登山靴については、別記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
雨具
雨具と言っても傘やレインコート類は不適合です。
雨と共に風も強く吹くので、上下がセパレートになったパンツタイプの物が良いです。
レインウェアの選び方については『登山に欠かせないレインウェア・・・』の記事で解説しています
特に富士山では嵐になる場合が多いので、それぞれの必要数値が高いものを選んでください。
防寒具
富士山山頂の気温は、8月でも平均で5~6℃です。
これは日中の気温ですよ。
なので朝晩は、0℃以下になるのが当たり前と考えてください。
ダウンジャケットやフリースなどの、保温着を忘れずに持って行く必要があります。
小屋泊でも、ダウンパンツが必要なほどに寒かったという話も聞いています。
また厚手の防水手袋・ネックウォーマー・イヤーウォーマーなども用意を忘れずに。
防水手袋を用意すると言うのは、嵐になった場合に撥水加工では間に合わないからです。
ヘッドランプ
ご来光を見たいという方は、夜中に小屋を出発します。
街の明かりも届かない高山なので、辺り一面は真っ暗で何も見えません。
また小屋の中で移動する場合も、夜は電気が点いていないので、ヘッドランプは必須です。
家を出る前に、点灯するかのチェックを必ずしてください。
また滅多に使わない人が多いと思うので、放電している可能性があります。
そして電池は低温にとても弱く、消耗が激しいので予備の電池も必ず持って行ってください。
飲み物と食料
富士山の山小屋に水道はありません。(手も顔も洗えません)
活火山で木も生えていないので、水場がありません。
なので、2日分の飲み物が必要になります。
しかし2日分の飲み物となると、4ℓも必要ということで、とても担いで歩けませんね。
荷物が重いほど、疲れてしまうので無理に持って行こうと考えない方が良いです。
ペットボトルが買える
山小屋では、ペットボトルの飲み物を買うことが出来ます。
500mlで¥500という値段にはなり、とても高額ではありますが。
重たいものを背負って疲れ切ってしまっては、お鉢巡りどころか下山も出来なくなってしまいます。
したがって、飲み物は小屋までの分と考えて、1ℓ~1.5ℓを持って行くと良いでしょう。
食料
登山は、他のスポーツと比べてもキツイ運動です。
そこで食事の他に行動食と言って、エネルギー補給の出来る食べ物が必要です。
行動食については『登山はエネルギーチャージしながら・・・』の記事で解説しています。
シャリバテという言葉を使うエネルギー切れを起こした状態は、低血糖を起こしている状態です。
低血糖状態は、足が攣ったり、ふらついたり、めまいがしたり、歩く事が危険になってしまいます。
お腹が空いていてなくても、30分に1回くらいのペースでエネルギー補給するのと良いでしょう
一口チョコレート・ロールパン1個・一口羊羹など、早くエネルギーに替わる物を食べてください。
応急処置キット

富士山の登山道は、上の写真のようなところが多いです。
つまづいて転んだら、手や膝や顔に怪我をしますよね(手袋してても怪我します)
また疲れから、腰や膝や足首が痛くなることもあります。
酷い場合は、捻挫や骨折を起こすことも。。。
そんな時、速やかに処置が出来るように、ファーストエイドキットを持って行ってください。
ちなみにファーストエイドキットと言うのは、救急箱のようなものです。
これについても、詳しく解説した記事があるので、上の青文字をクリックして見てください。
天気が崩れた場合の対処方法
山の天気は変わりやすいと言うのは、良く知られたことですね。
富士山のそれは、他の山とは比べられない規模になることが多いです。
急変という言葉がピッタリなほどで、雨がザーザー降って来るだけではありません。
風も強くなり、嵐のような状態になり、台風みたいで歩けなくなることも良く起こります。
事前に天気予報を確認しておくことを、忘れずに行ってください。
また急変した時にはどう行動すれば良いのか、という事を知っておく必要もあります。
早めの判断と下山
上のようなアウトドアウォッチを持っていると、気圧の変化から天候の変化が読み取れます
天候が崩れる前に対応できて良いので、登山の時には持っていくことをおすすめします。
私も、登山中にアウトドアウォッチを見ています。
その時、気圧の変化があったので、レインウェアを着たら、数分後に強い雨が降って来たということ
がありました。^^
早めに着ておく
天気が崩れて来そうだという事が分かったら、早めにレインウェアを着ておきましょう。
強い風が吹いてきたり雨が降り出してからだと、着るのも大変だし体やザックの中を濡らして
しまうからです。
風雨に晒された体は、低体温症になって亡くなったという、痛ましい事故も起きています。
もし雨が降らなくても、レインウェアは風を防ぐことが出来ます。
さらに透湿性が高く、蒸れずに快適さを保てるので、早めに着ておきましょう。
防寒対策を
雨が降って来たら気温が下がります。
レインウェアの下に、フリースを着るなどしておきましょう。
また手袋も、防水性能がある物に替えておくのが良いですね。
とにかく、体を濡らさない・冷やさないことを考えてください。
体を濡らす=気温が下がるor(and)風が強い=低体温症リスクが高くなるからです。
下山を考える
確実に天候が回復する事が分かっている場合は、小屋の近くや岩陰などで待機しているのも
良いかもしれませんが、回復が見込めない場合は速やかに下山する判断を下しましょう。
上に行けば行くほど、風雨が強くなり気温が下がって危険だからです。
しかし、行動するのも危険なほどの嵐になってしまった場合は、その場にしゃがんで足を抱
えるように座りましょう。
風の影響を受けにくくするためと、体を冷やさないためです。
富士登山の危険を知る
富士山登山は、素晴らしい思い出になることでしょう。
しかし、十分な準備と知識が無ければ命を落とす危険もある山です。
事前に天気をしっかり確認し、コースの確認や自分なら何分でどこまで行かれるか。
行動計画を、しっかりと立てましょう。
また予行練習として、日本アルプスを歩いてみたり、日頃のトレーニングも行ってください。
富士山は、プロのクライマーでさえ命を落とす、危険な山という一面も持っています。
このことを、しっかり頭に入れておいてください。
初めての登山が富士山でした、なんて絶対に言わないでくださいね。(笑)
コメント
ここ数日富士山での死亡事故が報道されています。最近の富士登山者の数はすごいですね。
人数制限をかけて正解だと思います。
亡くなった方たちはどれだけの登山経験があったのでしょうね。どれほどの経験値があったとしても危険が伴うので、私も初めての登山が富士山とかはやめた方が良いと思います。
私は高山植物とか花を眺めながらゆっくり体力に合った登山が好きなので、富士山には登らないかな。
ホント今年は、開山直前の遭難から開山日の嵐と3人が亡くなったと言う情報も入っています。
毎年、遭難者は多く、後を絶たないけど、それにもまして、今年の富士山は何か起こりそうで不気味です。