低体温症という言葉を聞いた事がありますか?
日常的な『平熱』が36℃以下の人もいますが、それとは全く違うもので命を落とす危険もある
大変なことなのです。
だから低体温症については、しっかり理解する必要があるので、今回は『低体温症』について
詳しく解説してますので、最後までしっかり読んで頂きたいと思います。
低体温症とは
低体温症とは命を落とすこともある怖い症状です。
『低体温症』という言葉は、聞いた事が有る人も実際のところ、『低体温症とは』という所まで
理解している方は、少ないのではないでしょうか。
低体温症とは、身体の内部(中心)温度=深部体温が35度以下に下がった状態のことを言います
一般的に体温を測る時は、脇の下や舌下で計りますね。
その方法で計った温度は 皮膚温 と言い皮膚表面の温度です。
体温が低くて、35度くらいしか無いという方もいらっしゃいますが、その皮膚温35度と深部体
温は別物なんです。
深部体温は、通常37度前後に保たれていますが、通常より大きく下がってしまうと内臓の機能が
働かなくなってしまい、適切な時期に適切な対処がされない場合は、命を落とすこともあるのです
なので低体温症に関して、正しい知識と適切な対応方法を学ぶ必要が有るという訳なのです。
低体温症の原因
原因として挙げられるものを、大きく分けると以下の2つです。
1,体から熱が奪われる
2.体が熱を作れ無くなる。
では詳しく見ていきましょう。
体から熱が奪われる
登山だけでは無く、人は動くと汗をかきますが、その汗をそのままして自然乾燥させると水分が
蒸発する時に身体の熱を奪って行きます。(気化熱ですね)
街中や真夏の暑い低山などでは「涼しくて気持ち良い~」なんて言うことでしょうが、街中でも
寒い冬だったり、真夏でも標高が高い山だったりするとゾクゾクッと寒くなってしまうと思いま
すが、これこそが体温が奪われた時の症状なのです。
これらの原因になることとしては
●冷たい空気や風に触れる
●冷たい水に浸かる
●汗や雨で濡れた衣服を着ている
●アルコールを飲んでいる(体温調節機能が低下します)
などがあります。
体が熱を作れ無くなる。
身体の熱を作るものとしては、食事があります。
食事ををして消化酵素が分解することで、エネルギーが作り出されます。
また、酸素と栄養が血液の流れにのって細胞に行き渡って反応を起こすことでもエネルギーを
生み出します。
だからと言って、エネルギーに変わり易い炭水化物中心の食事をしていると栄養分が不足して
酸素が血液に乗って細胞の隅々まで運ばれなくなり、エネルギーの枯渇が起こります。
動く為のエネルギーが不足すると、体は筋肉のたんぱく質を分解してエネルギーを作ろうとします
すると筋肉が疲れたり攣ってしまったりして、パフォーマンスが悪くなって体が冷えてしまうと言
う事も起こってしまいます。
常日頃から、食事内容に気をつけて健康的な食事をすることが、スポーツをする上ではとても重要
な事だと理解してください。
その他で熱を作れ無くなる原因としては
●運動不足(体を動かせば温かくなる)
●加齢(動いていても、動きがゆっくりになったり筋力が落ちるから)
●栄養不足(上に書いたことです)
●甲状腺機能低下(病気なので診察を)
低体温症の症状は?
深部温度の低下によって起こる症状
軽度・・・(35度~32度)悪寒 震え 倦怠感 頭痛 注意力散漫 判断能力低下 など
中等度・・(32度~28度) 意識障害 錯乱 幻覚 呼吸困難 心拍数増加 など
重度・・・(28度以下) 意識消失 呼吸停止 心停止 など
グループ登山だった場合は、誰かしらが「なんか様子が変じゃない?大丈夫?」などと声を掛けて
くれることもあるでしょうが、ソロ登山の場合は自分で適切な知識を持って何かいつもと違う様な
気がするけど・・・・と感じた時点で適切な処置をしなければなりません。
軽度の症状を見て頂くと分かりますが、誰でもいつでも起こり易い症状ですよね。
登山をすれば疲れるのは当然で、体が怠くなっても疲れたんだろうと思うだけです。
頭痛がしても、標高差に弱い人は(私も)いつもの事ですしね。
注意散漫も、疲れたら足が引っかかって転びそうになったり、頭上の木や枝に気が付かなかったり
とにかく、軽症の症状はいつもの登山で良く起こる症状なので見逃しやすい、だから特に注意が
必要という訳なんです。
前兆に気が付かず、気づいてもいつもの事だからと見逃してしまったら、体温低下は急速で症状も
急速に悪化してしまうので、とても怖いことです。
低体温症を予防するには
常日頃から健康的な食事をすることが重要
上に書いた事を、もう1度読んで理解してくださいね。
そしてエネルギーが不足しない為には、行動食を適時に摂取することです。
行動食については➡『エネルギーチャージしながら・・・』の記事をご覧ください
疲れると食欲がなくなってくる人もいますが、食べたく無くても1時間おきなどある程度決めて
おいて、チョコレートを3粒とかでも良いので食べましょう。
もし体がエネルギー不足を起こしている場合は、少し食べるだけで空腹感が出て来てもっと食べ
たい!とか思う事もあります(私は良くあります)そうしたら菓子パン1個とか、羊羹1個とか
食べると良いでしょう。
『山頂で美味しいご飯を食べたいから、途中では食べない』これは大きな間違いなので、やめてく
ださいね。
途中に2~3分の休憩を取りながら少し何かを食べてたとしても、山頂のご飯はとても美味しく食
べられるので大丈夫ですよ。 OK.
逆に、バテバテになって具合が悪くなってしまったら、山頂でのご飯も美味しく食べられません。
それは、疲れによって胃が弱ってしまうからです。
レイヤリングと服装の注意
身体を冷やす原因に、汗や雨による濡れがあります。
『レイヤリング』の記事にも書きましたが、汗が自然蒸発するのを待っていると気化熱で体温を奪
われてしまいます。
また、風の強さや標高による気温の変化にも注意が必要です。
●風速1メートルで体感温度は1℃低くなる
●標高が100m上がると気温は0.6℃低くなる
この2つは、しっかり頭に入れておいてください。
またこれには天気も関係して、日が射しているのか曇っているのか、雨が降っているのか、風が
強いのかなどですね。
山の天気予報を見て家を出たとしても、山へ入ってみたら状況が違ったなどと言う事は良くある
話しです。
汗冷えしないような服を選び、面倒でもレイヤリングを頻繁にして、身体を冷やさないようにする
事がとても大事ですよ。
寒いから着たら数m歩いただけで暑くて脱いだ、でも日陰に入ったら寒くて直ぐに上着を着た・・
このように、何度も着たり脱いだりを繰り返すのが登山だと思ってください。
レインウェア・ウィンドブレーカーは必須
天気が晴れ予報でも、突然雨が降ってくる事もあるのでいつ・どこの山へ行く時も、必ずレイン
ウェアは持参してくださいね。
レインウェアは、命を守るウェアですから。
また真夏の暑い日でも、風で体を冷やさない為にウィンドブレーカーも必ず持参しましょう。
あまり暑がりでは無い人は、レインウェアをウインドブレーカー代わりに着る人もいますが、私は
レインウェを着ると、暑く感じてしまうので苦手です。
ウインドブレーカーによっても微妙に温かさが違うので、私は2枚持って行きます。(^0^)
また風がヒンヤリ感じるような季節になったら、着ても着なくてもライトダウンを持って行くのが
安全です。
山頂までは汗ダクで登っていったけど、山頂に着いたら風が強くて寒かったって言うのも常識とい
うくらいに当たり前のことだからです。
身体を冷やさないアイテム
帽子
こんなこと、ご存じでしたか?
頭部は 体の体温の1/4を放出する
なので頭を温めることで、体の冷えを防ぐことも出来ます。
夏は日差しを避ける為に被る帽子ですが、登山では枝や石が落ちてきたり引っかかった時に頭を
守る為にも必要な帽子で、このように防寒のためにも必須アイテムであると言えます。
『首』を温める
頭だけでなく『首を温めろ』っという言葉も聞いた事があると思います。
手首 足首 首 です。
手袋に関しては『登山用手袋の必要性・・・』の記事をご覧ください。
手の全部をモコモコに温めなくても、手首を温めれば指先まであまり冷えません。
手袋が邪魔に感じる方は、手首用サポーターでタオル地で出来たような物などを装着するだけで
も大分違いますよ(タオル地の物は汗拭きにもなります)
足首を温めるには、やはり登山用の靴下で長さはミドルかハイソックスが良いでしょう。
頭の下にある首を温めるには、ネックウォーマーが1番良いですね。
フリース素材の物が多く出ていまが、軽くてチクチクしないし汗ばんでも直ぐに乾くので良いです
ネックウォーマーのロングタイプなら、顔まで覆うように伸ばす事も出来てとても暖かいです。
帽子の代わりに被っても、耳まで覆う事が出来るので暖かさを保つことが出来ます。
登山用靴下
足を冷やさない為には、やはり吸汗速乾素材の登山用靴下が必要です。
いくら温かくても、吸汗速乾機能が備わっていなければ、足が蒸れたり汗冷えの原因になってしま
うからです。
フェイスカバー
雪山へ行く方は、フェイスカバーも必須ですね。
雪山では風が強いことが多く気温がとても低いので、肌を露出していると5分も経たない内に凍傷
になってしまいます。
雪山で無くても、耳・鼻・頬が冷たい時には、フェイスカバーが役立ちます。
ネックウォーマーを顔まで覆うように伸ばすと、とても暖かいです。
まとめ
低体温症は酷くなると命を落とす危険があるもので、その原因の1つが『体を冷やす事』なので
服装やアイテムなどを色々と試しながら、自分にはどれが最適かを見つけて、もしもの時のため
に、たとえ使わなくても常にザックへ入れて置く習慣をつけるようにしましょう。
そして、少しでも「なんか変だ」と感じることがあったら、直ぐに対策をとりましょう。
対策については、別の記事に詳しく書いているので参考にして頂けたらと思います。
低体温症になってからでは、回復させるのが難しかったり回復出来なかったりするので、低体
温症にならないという事がとても大事です。
●常日頃から健康な食事をする
●身体を冷やさない
●エネルギーになる食べ物食べる
この3つだけは、最低でも守っていてくださいね。