北アルプス入門者には燕岳がおすすめ。初心者向け完全ガイド

おすすめの山
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北アルプス入門者には、燕岳がおすすめです。

その理由は、山容の美しさと魅力から『北アルプスの女王』と呼ばれている山だからです。

6月中旬~7月下旬ころには、砂礫地に群生しているコマクサが可憐な花を咲かせて見事ですよ。

ここでは入門者にも登れる魅力あふれる燕岳、燕山荘の情報、アクセス方法などについて解説します

 

北アルプス入門者向け燕岳とは

北アルプス入門者向け燕岳は、長野県・新潟県・富山県・岐阜県にまたがる、北アルプスにあ

る山です。

そこは飛騨山脈で、燕岳は長野県にあります。

標高は、2.763mの山で、美しい山容から『北アルプスの女王』と呼ばれるほど。

深田久弥のファン組織『深田クラブ』によって、日本二百名山に選出されています。

ちなみに、日本百名山を選出した深田久弥は、燕岳を百名山に入れていません。

でも、登山家の岩崎元郎が『中高年が登り易い山』という点を加味して選定した『新日本百名山』

には選定されている山です。

 

燕岳は夏山の季節に

北アルプス入門者が登るのに最適な時期は、夏シーズンを迎える7月上旬から雪が降り始める10月

上旬までなんです。

その他の時期は雪山シーズンになり、5月の連休でも残雪期で前爪のあるアイゼンが必要だから。

また、夏山とは違う装備やルートを歩く事になるから、アイゼンワーク技術が必要でもあるんです。

なので、初心者の方は登山教室やガイドさんをお願いする意外は、立ち入らない方が安全。

さらに、前爪つきアイゼンを装着しての歩行は、普段と違った歩き方なので練習が必要となります。

 

北アルプスの入門者・初心者とは

ここで言う入門者・初心者とは、『アルプスの入門者・初心者』を対象にしています。

アルプス以外の山で、標高1500m以上を何度も経験して、6時間位は歩く事が出来る人のことです。

他の山では、初心者を終えて初級者も卒業し、中級者になっている人が対象となります。

初心者・初級者って、どうやって分けられてるの? と気になる方もいますよね。

検索した結果に加えて私感も含みますが、レベル分けを書いておきます。

ぜひ、最後まで読んで頂きたいと思います。

 

燕岳登山口へのアクセス

公共交通機関の場合

JR大糸線 穂高駅下車  中房線乗り合いバス(マイクロバス)で約55分

自動車の場合

長野自動車道 安曇野インターチェンジから中房温泉近くの安曇野市営第1駐車場まで。

混雑する時期には、前乗りで夜中12時に着いても、ほぼ満車だった経験があります。

第3駐車場まで入れると、140台停められるのですが、それが満車になるんですよ!

近隣の駐車場情報

穂高駅の近くにある、穂高神社の横の穂高駐車場へ停める事をおすすめします。

私が最後に行った2015年には無料でした。(現在は不明、有料か無料なのか記載がありません)

この駐車場から、中房温泉行定期バスに乗ることが出来ます。(片道¥1500)

マップ

燕岳登山ルート

燕岳の登山コースは色々ありますが、北アルプス入門者は中房温泉から登る『合戦尾根往復コース

がおすすめ。

でも、この合戦尾根コースは『北アルプス三大急登』に入っているんですよね。

だから、楽に登れるコースと言う訳では無く、危険の無い登山道ということです。

そして、約1kmおき位に休憩スペースがあってベンチもあり、平坦な所で休むことが出来ます。

第四までベンチはありますが、第三ベンチからは標高が2000mを超えます。

なので高山に慣れて無い人は、ゆっくり目に歩き、標高に体を慣らしましょう。

合戦小屋

本当にキツイのは登山口から3.8㎞地点にある合戦小屋までです。

そこから先は眺めの良さも手伝って、それほどキツイと苦しむ所はありません。

合戦小屋から燕山荘までは1.7kmあります。

急な登りで疲れているだろうし、さらに標高を上げていくので、1時間くらいゆっくり休みましょう

それは、高所に体を慣らすためです。

高山病は、命にも関わる怖い症状がでるので、ここで慣らすことが必要なのです。

合戦小屋では、夏場限定ですが冷たいスイカを食べることが出来ます。

名物のスイカ

この合戦小屋では、ケーブルカーを使って安曇野市からスイカを荷揚げしています。

私が2回目に行った2014年で、¥850と言う値段でした。

2024年9月には、¥600だったようです。

でも、キツイ登山道を登って疲れた体だし、山の中で冷たいスイカを食べるなんて最高の贅沢。

スイカは、エネルギー代謝を助けるビタミンB群が含まれています。

また、水分補給にもなるので、もうひと頑張りできますよ。

合戦小屋で売ってるスイカ

嫌な虫

合戦小屋を過ぎると、細かい虫が大量に飛んでいました。

経験者の多くは、うちわを持ったり虫よけネットを被っていましたね。

私は虫の大量発生の経験が無かったので、何も対処する物を持って無くて、泣きそうになりました

ただただ、口と鼻を手で覆って逃げるように歩くしかありませんでした。><。

なので、帰宅して直ぐに下のネットを購入しましたよ。


燕山荘

小屋に着くとホッとした気持ちと疲れから、横になって眠ってしまう人もいます。

しかし、眠ってしまうと呼吸が浅くなって、酸素不足による高山病を起こしやすくなります。

だから、最低でも1時間は起きていて景色を眺めたり、外のベンチで休んだりしていましょう。

下の画像は、2012年7月に初めて行った時のものです。

この画像を見て???と思った方は、お若いかたですね。^^

今は、この奥のテント場やテント場用のトイレは有りませんから。

この地域は、砂礫地なので風雨によって浸食されて地形が変わってしまうのです。

その後に行った時には、この場所が無くなっているのを見てショックでした。

燕山荘の部屋

2015年5月1日に行った時は、残雪期で雪上テントになることが判っていました。

雪上テントの寒さは、初めて行った2012年に経験済みだったので、この時は小屋泊を選びました

この日は連休前の金曜日だったからか、宿泊客が少なくて私達は個室に入ることが出来ましたよ。

燕山荘の居室

布団の枚数

良く見ると分かりますが、布団と毛布は2枚だけど寝袋と枕は3個あります。

混雑している時は、3人がここで寝る事になると言う訳です。

繁盛記の山小屋は、布団1枚に2人なんてザラなので、覚悟しておい方が良いですよ。

音やニオイが気になる方は、マスクや耳栓があると良いですね。

デザート

燕山荘の食事は美味しいし、ケーキは格別だと聞いていたので、とても楽しみにしていました。

ケーキは早々に売り切れるようなので、小屋に入って直ぐに食べる事にしました。

この日は、チョコレートケーキとチーズケーキがありましたよ。(日によって変わるみたい)

どちらも、ケーキ屋さんで買ったケーキと同じ美味しさでした。^^

美味しいケーキとコーヒー

食事

夕食は、チーズインハンバーグ・煮魚と昆布の酢の物・キャベツの千切りサラダ。

さらに、ポテトサラダ・漬物2種・デザートの杏仁豆腐でした。

ご飯とお味噌汁は、お代わり自由でしたよ。(その他の山小屋でもお代わりできます)

                           燕山荘の美味しい夕食

夕食後の楽しみ

食事が終わると、名物であるオーナーのアルプスホルンの演奏が始まりました。

オーナーは、常に小屋に来ている訳では無いので、聞けない日もあるようですよ。

私達が行った日も、スタッフさんに聞くと「オーナーは下に居るので演奏は無しです」と。

ガッカリしていたのですが、夕飯の時間にオーナーがいらしたとスタッフさんが教えてくれました。

嬉しかったですねぇ。

演奏だけでなく、オーナーの山についてのお話しも素敵な内容でした。

燕山荘オーナーの演奏

燕岳へ

小屋を出て直ぐの辺りから、コマクサが群生しています。

コマクサの群生

歩く時は注意

砂礫地なので、歩くと足跡は窪みます。

雨が降るとその穴に水が溜まり、砂礫は流れ登山道や草花たちの生きる場所が失われます。

なので、決められた登山道以外へ足を踏み込みことはしないでください!

またトレッキングポールの影響も大きいと、オーナーが話されていました。

砂礫地では、トレッキングポールは使わないで頂きたいと、オーナーが言っています。

だから、燕山荘から燕岳ヘ向かう時、トレッキングポールは小屋へ置いて行ってくださいね。

イルカ岩

私達が燕岳へ行った頃は、多くの人がこうやってイルカに飲ませる写真を撮っていたんですよ。^^

最近撮られた写真と見比べると、イルカの形が変わっているみたいです。

浸食は仕方ない運命ですが、悲しいですね。

     本当にイルカに見えるよね
    イルカ岩に水をあげます。^^

眼鏡岩

この画像は借り物ですが、ロープが張って無いので古い物と思われます。

私が初めて行った2012年には、斜めになっている所を登って行くことが出来ました。

ところが2回目の2014年に行った時は、右下の方にロープが張ってあって、登れませんでした

『崩れる危険があるので登らないでください』という張り紙がしてあったのです。

山頂

山頂表記は、岩の上にあります。

登る人・降りる人で順番に行わないと、山頂は狭くて2~3人しか立てません。

2014年には、足元に四角い岩で表記があっただけでした。

なので、写真を撮るには寝ころぶしか無かったんですよね。^^;

最近では、持てる山頂表記があるようですね。

このパンツ、今も履いてます。^^

コースタイム

中房温泉の燕岳登山口から合戦小屋までは2時間10分。

合戦小屋から燕山荘までは70分。

燕山荘から燕岳までは30分となっています。

これは距離から計算したもので、登山道に雪が無く、登山者が少なくて空いている時の時間です。

登山者が多いと、ゆづり合う時間を多く取られます。

時間に余裕を持って

登山者が多い時は、段差や細い場所で待ち時間が発生します。

また、休憩する時間も考えると、通常は1泊2日の日程で予定を立てるのが良いでしょう。

若者の健脚さんは、日帰りでも行けてしまうようですが。

せっかく良い眺めの所へ行くんだもの、眺めや登山道を楽しみながら登りたいですね。

また、そんなゆとりを持った歩き方をすることで、高山病にもなり難いからです。

 

登山者レベル分け

私は、登山を始めて直ぐから色々な山雑誌や山と渓谷社の本などを読んで、色々と勉強しました。

その時に読んだ山雑誌に、登山レベルというのが載っていました

それによると
  【初心者】30日以下  【初級者】30~300日  【中級者】301日以上

という分け方をしてありましたが、日数だけでは決められ無いことは誰でも判ると思います。

なぜなら、標高300m位の山を301日以上登ったら中級者か、と言うとそんな訳無いですよね。

山岳ガイドや山岳会の指針

【初心者】8kgくらいのザックを背負って6時間歩ける

【中級者】8kg以上のザックを背負って10時間程度歩ける、または縦走できる

【上級者】10kg以上のザックを背負って標高差400mを1時間で登れて、10時間以上歩ける

というのを目安にしているようです。

でも、これが普通の山なのか森林限界を超えた高山なのか、などの細かい事は書かれていません。

なので、上記だけでは筋力と体力さえ有れば、上の級に上がれることになってしまいますよね。

私の考える登山レベルとは

あくまでも私の私感で書かせて頂きます。

日数分けは、上記の通りで良いと考えます。

これ位の日数を歩いていれば、それなりに知識や技術も身について来ると考えるからです。

【初心者】

登山を始めたばかりで、必要な装備を全ては持っていなくて、その知識も乏しい。

歩き方や自分のペースが判って無いなど、知識や技術が無いに等しい人。

【初級者】

登山を続けていて、歩く自分のペースを理解している。

必要な装備や持ち物を理解していて、取り扱う事が出来る。

【中級者】

装備がおおむね揃っていて、適時適切に扱うことが出来る。

歩き方が身についていて、転んだりつまづいたりが無く安全に歩ける。

小さい岩場や鎖場を安全に歩く事が出来る。

エネルギーや水分補給なども、適切に行うことが出来る。

地図を理解して扱う事が出来る(スマホアプリでも良い)

【上級者】

森林限界の標高2500m以上の山で、ガラ場やガレ場、岩場・鎖場などを安全に歩く事が出来る。

不明瞭な登山道、もしくは全く判らない登山道でも、地図を見ながら道を見つけて歩ける。

装備やウェアなど、適材適所の判断能力が身に付いて適切に扱える。

初心者や初級者、怪我や病人が居た場合には、適切に対応することが出来る。

雪や氷がある山を、アイゼンを用いて歩ける。

山という自然を守る為の知識があり、行動することもできる。

日本アルプスは別 

対応したレベルでは、上記の上級者でも【初級者】と捉えています。

それは、日本アルプスの地形が関係しています。

登山道・気温・風・天気の移り変わるスピード・空気の薄さなど。

様々なことが他の山とは違う、特別な地域だと感じているからです。

 

燕岳、遭難・熊情報

遭難

燕岳は、北アルプス入門に良い山だと述べて来ました。

しかし、『遭難が全く無い安全な山』と言う訳ではありません。

遭難は、どんな山でも場所でも、いつ起こっても不思議では無いのが、登山だからです。

そもそも遭難の原因は、ほぼ登山者側にあります。

考えられる原因

1,悪天候が予想されるのに、入山してしまう。

2,自分の技量を理解していなくて、必要な技量以上の場所へ立ち入ってしまう。

3,体力の分配が上手く出来ずに、疲労から転倒し、その拍子に斜面へ飛び出て滑落してしまう

4,転んでしまい、岩などにぶつけたり変に手を着いてしまって骨折する。

5,そもそもの知識が無く、飲食物や装備不足により行動不能となってしまう。

6,地図読みが出来ず、道標も見落とすなどの不注意で、道迷いを起こして遭難する。

等々が原因になっているのです。

熊情報

昔は中房温泉から燕岳ルート上で、熊の目撃情報は無かったそうです。

燕山荘や合戦小屋のスタッフさんたちの努力で、残飯など餌になるゴミが無いからです。

またゴミが無いことで、カラス・狐・熊などが里から上がって来ることもありません。

過去の事例

合戦小屋にて、登山者によるスイカのゴミ処理問題から熊が上がって来てしまいました

熊は、1度食べ物を見つけた場所へは何度も来てしまいます。

しかし、合戦小屋スタッフさんの努力により、何とか今は収まりました。

森林限界に熊はいない

基本的に、熊のエサとなる物が無い森林限界を超えた地域には、熊が出没しません。

でも、人間の食べ物の味を覚えてしまった熊は、匂いを嗅ぎつけて登って来てしまいます。

そして食べ物を持っている人間を襲うのです。

これは、熊の習性によるものなので、『熊が』では無くて『人間が』行動を改めるべきなのです。

 

まとめ

燕岳は、アルプスの初心者でも挑戦しやすい魅力的な山です。

日本三大急登と言われてはいますが、もっともっとキツイと感じる山は沢山あります。

不安に感じる方は、キツイと言われている山に登って、練習しておくと良いでしょう。

コースタイムは、休憩無しで片道3時間50分です。

若くて健脚な人は、日帰りすることもあります。

しかし、日帰り予定だった人が疲労で動けなくなり救助されたという事も少なく無いようです。

また標高が高いので、一気に行動してしまうと体が高度に順応でません。

高山病の発症リスクも高くなるので、1泊2日の予定を組むことをおすすめします。

ゆったりと素敵な山旅を、楽しんでくださいね。

ちなみに『高山病』について解説している記事もあるので、読んで頂きたいです。

 

 

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コメント

  1. Kei より:

    こんばんは☆
    意見を言ったつもりはないんですがスミマセン。
    アルプスの初心者という定義を教えてくださってありがたいです。
    ブログを書いている方の中には、アクセスやいいねが欲しいがために「自分は初心者です」みたいなことを書く中級・上級者はいますよね。その上で自分のコースタイムを自慢げに書かれたりすると、本当の初心者が勘違いしてしまうこともあるだろうなと思っていまして。(実際、そういう情報を真に受けて遭難しかけた方もいらっしゃいます)
    体力、装備、情報もできるだけ持って、山を楽しみたいですね。

    • harupy より:

      こんにちは。
      いえいえ、謝って頂く事なんて何も無いですよぉ。
      それより、読んだ方からの感想は貴重で感謝しています。ありがとうございます。

      確かに、登山者の中には自分を低く評価して書いてる人って「いますよね。
      登山する人は、他人の登山投稿を見て参考にしている人が多いです。
      実際に私も、そうやって行かれそうな山を探しています。

      注意したいのは、何kmを歩いていてどの位の時間が掛かっているか、という事を見るのが大事です。
      それを見ると、その人の歩くスピードが判るので。

      私のように岩場に慣れている人間が『ここは簡単よ』なんて軽々しく書いてしまうと
      岩場に慣れていない人は「簡単なら、私も歩けるかも」って思っちゃういますからね。

      だから私は、自分の登山記録も記事としてアップするようにしたんです。^^
      こういう所を歩いて来た経験者です。って判ってもらえるように。
      その上で、初心者さんへの注意喚起を綴っています。

      少しでも、登山者の参考になれば良いなぁ。
      安全に登山を楽しんで欲しいなぁって、いつも考えながら記事を書いています。(^^)

  2. Kei より:

    Harupyさん、こんばんは☆
    燕岳、綺麗ですね☆
    今の時期は日照時間が長いので登山しやすいんですよね。なるべくなら日帰りで登れる山で経験を積みたい・・ですけど。
    北アルプスではアルペンルート経由で立山は何度か登りました。
    初心者、初級者という定義も曖昧な気がして、よく読まない人を遭難に導きかねない気がしています。僕は初級者のつもりですが、もっと体力脚力知識もない方もいるでしょうし、謙遜はよくないのかなって思ってます。
    アルプスの初心者、僕はそこまでいってないかも。
    励まなければいけませんねー。

    • harupy より:

      いつもコメントありがとうございます。

      あ~、初心者・初級者などの定義ですね。
      YAMAPやヤマレコなど、山関係のところでは、標高どれくらいの山を何回とか、書いてあったように記憶しています。
      記事に、追記した方が良さそうですね。

      ご意見ありがとうございました。‍♀️

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