地図は登山の必需品です。
山の中には、道標が全く無い所も多く存在し、林業の作業道もあって、道に迷いやすいからです。
でも、地図には紙の物とスマホアプリの物があり、どっちを使ったら良いのか、迷ってしまいますね
今回は、登山地図を見たら何が判るの?というところから、紙の地図とスマホアプリ地図のメリット
やデメリット、地図記号の意味、スマホアプリ地図の種類、活用方法などを詳しく解説します。
地図は必需品だけど、持っているだけでは意味が無いので、最後まで読んで地図を活用できるように
なって頂きたいです。
地図を持って行く必要性
どんなにコースタイムが短い山へ行くときも、標高が低い山へ行く時も、地図は必ず持って行ってく
ださい。
登山道が明確では無かったり、作業道があったり、獣道があったり・・・
道迷いの要因が沢山あるからです。
たとえ、要因が無かったとしても、人は疲れると集中力が欠けてしまいます。
もし迷った場合にも、正規ルートに戻ったり安全に下山するためには、地図が必要なのです。
道標が有るとは限らない
どの山にも道標があるとは限りません。
山によっては、道標が全く無い・有っても壊れている・ピンクリボンしか無いという所も多くあり
ます。
ちなみに、ピンクや赤のリボンは、登山道の印という認識を持っていますよね。
でも林業の人が目印で付けている物もあるので、判断が非常に難しい場合があります。
だから、道標とピンクや赤のリボンだけを頼りに登山をするというのは、とても危険な事だと理解し
てください。
地図で自分の居る場所を知る
今、自分がどの辺りを歩いているのか?道は間違って無いのかな?
行きたい場所までは、あとどれくらい時間が掛かるのだろう?
そういった事を知るために、地図が必要だと言う訳なのです。
何も判らなければ、目をつむって歩いているのと同じで、遭難の危険性がとても大きくなります
ペース配分が出来る
自分の居る場所と、目的の場所までの距離や掛かる時間が判ると、ペース配分にも役立ちます
「まだこれだけあるから、この辺で休憩しておこう。」
「今の自分の疲れ具合じゃ、目的地まで行かれそうに無いから、次の分岐から下山した方が良さそう
だ」などなど、計画的に行動する事が出来るからです。
地図は2種類
昔は紙の地図しか無かったのですが、今はスマホに地図をダウンロードして使えるようになってます
スマホアプリ地図と紙地図
紙の地図を理解する事は地図読みと言って、地図に書かれている記号や等高線などを理解する必
要があり、ベテランの方から指導を受けないと独学では中々難しいものです。
そして地図読みには、方位磁石=コンパスが必要なので、その使い方もマスターする必要があります
一方でスマホアプリの地図は、GPS機能を使って今現在自分がどこにいるのか、ルート上で自分がど
っちの方角を向いているのかまで判ります。
紙の地図の良いところ
スマホの小さな画面と違って、広範囲を見ることが出来ます。
この先のルートがどうなっているのか、いちいち縮小したり広げたりして見る、スマホアプリの地図
と違って、広げればその地域全体が判ります。
また紙なので電源は不要で、いつでも見ることが出来ます。
下は実際の紙地図で、距離やコースタイム、ランドマークも記載されています。

紙地図の難しいところ
自分の現在位置が表示されません。
自分が今どの方向を向いているのか判らなければ、地図をどの方向から見たら良いかがわかりません
そのために、コンパスを使って自分の向いている方角を調べる必要があります。
また自分が歩いて来た時間を見て、コースタイムと比べて現在位置を把握必要もあります。
こんな風に、色々な事を全て自分で判断しなければならないので、紙地図は難しいという訳なのです
地図から読み取る項目
ピーク(山頂)・コル(ピークとピークの間の谷部分)・尾根(自分の両側が低く見える)・谷(自
分の両側が高く見える)・斜面(斜面を水平移動する事をトラバースと言う)
最低限これだけ覚えていれば、通常の登山なら問題はありません。
道に迷ったときは
もし道に迷ってしまった時は、方角まで分からなくなるので、植生を見て地図と照らし合わせ、現在
位置を把握する必要があります。
自分の位置が表示されない紙地図では、周りに生えている木の種類を、知っている必要があるのです
地図には、この場所にはどんな木が生えて居るのか、という事までが書かれているからです。
地図を見る時必要な知識
紙地図だけでは無く、スマホのアプリでも必要なのが、等高線を見て地形を理解するということ。
ピーク(山頂)・コル(ピークとピークの間の谷部分)・尾根(自分の両側が低く見える)・谷(自
分の両側が高く見える)・斜面(斜面を水平移動する事をトラバースと言う)
これらは、地図を見ながら頭の中で立体化することが必要です。
初めは、尾根と谷が良く判らず混乱すると思いますが、何度も繰り返して見ることで段々と頭の中に
立体化していくので、地図とじっくり向き合ってくださいね。
これは私にも出来ることなので、多くの方がスムーズに出来ると思います。^^
地図上のピークを見つける

緑色のマークは山頂表記、その山の中で1番高いところで 等高線では丸く囲われています。
この丸く囲われている線から、段々離れながら見ていくと、ピークの部分が高く浮き上がって見え
て来ませんか?
この地図は特に、ピークを薄い色にしてあるから、より分かり易いですね。
地図で谷を探す
ピークに向かって、食い込んで来ている等高線が有る場所は、谷=コルという訳です。
1番高い所がピークなので、そこから等高線の円を辿って行くと、段々低くなって行くという事も考
えながら見てください。
立体化して見えにくい場合
どうしても立体化して想像できない場合は、紙地図をコピーしそれを使って、折り紙みたいに高い所
を全て尖がらせると、必然的に低い部分が出来ますね。
低い部分は谷折りして立たせると、図形が立体化するので分かり易いですよ。
地名でも地形が判る
地名は、その場所の地形を表しているという事が多くあります。
ピークを意味する地名
〇〇山・〇〇岳・〇〇峰と言うのは、山頂=ピークの名前ですね。
その他にも、頭・・・〇〇ノ頭・〇ケ頭、など
森・・・〇〇ケ森・〇〇森、など
丸・・・〇〇丸・〇〇ケ丸、など
塚・・・〇〇塚 など
ドッケ・ドッキョウ・・・〇ドッケ・〇ドッキョウ、など
これらは、みんなピークを表す名前なので、その名前がある所は高いと分かります。
コルを意味する地名
〇〇のコル・〇〇最低鞍部など、書かれる事もあります。
その他には、乗越・・・〇〇乗越・乗越浄土、など
窓・・・全て北アルプスの剱岳にあるものですが、大窓・小窓・三ノ窓
キレット・・・不帰キレット・キレット(八ヶ岳周辺)
タルミ・・・三条ダルミ(奥多摩)・大弛峠(奥秩父)
峠・・・一部例外はあります。
このような名前が地図に書いてあったら、そこがどんな場所なのかが判る、という訳なのです。
地図の等高線
等高線とは、同じ高さの地点を結んだ線のことです。
上の地図を見て頂くと、濃くて太い線と薄くて細い線に分けてあるのが判りますね。
主曲線
細く書かれていて、2500分の1の地図では10mごとに、5000分の1の地図では20mごと
に引かれています。
計曲線
太い線で書かれていて、2500分の1の地図では50mごと、5000分の1の地図では100m
ごとに引かれています。
縮尺設定
地図には必ず縮尺が設定されていて、地図の端っこに2500分の1とか5000分の1とか書かれ
ています。
これは実際の距離を、どのくらいの割合で小さくしたかを示したものです。
縮尺を確認する
自分が見ている地図は、何分の1の縮尺地図なのかを、まず確認する必要があります。
それを見るのが、地図の端っこに書かれた棒線です。
上の地図には、0から150mと書かれていますね。
この表示の長さを使って、距離を測ることが出来るのです。(この時にコンパスのスケールを使う)
等高線で解ること
ピークや谷が解るだけでなく、傾斜がどうなっているのかも、知ることが出来るという訳です。
幅が狭かったら急な登りや下りで、広かったら緩やかな上り下りという事です。
このように地図を読むことは大事なことなので、最低限でも等高線のことは覚えてください。
スマホアプリ地図
代表的なものは ヤマップ・ヤマレコ・山と高原地図 の3社になりますが、他にも色々あります。
以前は、ヤマケイというiPhoneなら無料で使えるものもあったのですが、現在は配布もサポートも終
了しているということです。
地図による違い
私が使っているのはヤマップ(YAMAP)で、主人はヤマレコと、山と高原地図を使っています。
一緒に行く時も、それぞれの地図を見ながら歩いていますが、コースタイム・危険表示の場所・山頂
表示の位置・コース表示などに、少し違いがあることに気が付きました。
コースタイムは、それぞれの地図を使っている人の平均値を採用してる、ということが多いので、違
いが出るのは当然ですが、ピークの表示が在ったり無かったりの違いもあってビックリです。
ヤマップ
どちらかと言うと、登山初心者が多く使っているように感じます。
使用は無料でも使えますが、無料会員は地図の保存が10枚までしか出来ません。
なので10か所以上へ行く場合は、どれかを削除しなければ、新しい地図のダウンロードができ無い
という事です。
有料会員のプレミアムに入ると、ダウンロードは無制限なので、色々な地図を1回ダウンロードする
だけで、いつでも見返すことが出来ます。
見守り機能
プレミアム会員には、見守り機能と言うのがあります。
家族や友人に登録してもらったら、自分が登山を始めた場所や時間、下山した場所や時間などのお知
らせが届きます。
だから夜になっても下山通知が届かない場合は、家族から遭難救助要請を出してもらう事ができると
いう訳で、これはとても良いと感じています。
ルート外れ警告
自分で設定した距離だけルートから外れると「ルートを外れているようです、確認してください」
という表示と共に音で教えてくれます。
到着時刻予測
自分の歩くペースで、次のポイントに到着する時刻を表示します。
これにより、無理の無い行動をとることが出来るという訳です。
初心者向けと感じる訳
登山道としてしっかりした道があるのに、採用されて無くて表示されて無い場所が多いです。
ヤマレコの地図には、しっかり実線(正規ルート)として表示があるのにです。
地図には無いけど歩いて見ようかなぁって、行って見ると何も問題は無いということが良くあります
また、コースタイムが他の地図と比べると、甘い(長い)ことが多いです。
そんなところからも、初心者向けだと感じる訳です。
安全第一
表示されていない道は、道標の無い所が多くて、登山道として認められない理由も分かります。
それくらい、ヤマップの地図は安全第一を考えて、作られているようです。
ヤマレコ
山慣れした人が多く使っているようで、破線コースの表示も多いです。
だからなのか、YAMAPには表示されていない山頂表記があったりします。
使用は無料ですが、ヤマレコおすすめルート、を使うには有料会員になる必要があります
おすすめルートでは、登山入門★ 登山初級★★ 登山中級★★★ などと★表示がされていてコー
スを選びやすくなっています。
また自分が歩きたいコースだけを、地図上に作る事も出来るようです。
コースが色々書かれていると、ゴチャゴチャしてて見難いと感じる方には良いですね。
破線コースとは
地図上で実線表示では無く、・・・・・・で表示されている道のことです。
正規ルートと違って、整備されて無くて危険な個所や、迷い易い箇所が多い道です。
登山経験を積むまでは、入り込まない方が安全です。
山と高原地図
紙地図と全く同じ表示になっています。
ただ地図ごとに購入する必要があるので、値段的に高いと感じてしまう事もあります。
以前は無料でも使えたのですが、何時の頃からか購入しなければ使えなくなりました。
でも山と高原の紙地図に慣れた人は、全く同じ表示なので見やすいと思います。
なので紙地図を常に持ち歩く主人は、スマホ地図も山と高原地図を使っていました。
GPS機能を使っている
スマホアプリの地図は、どれもGPS機能を使用しているので、電波が届かない山の中でも通常通りに
動作します。
だから、どんな破線コースを歩いても、道が無い所をよじ登っても、全く途切れる事無く自分の位置
を表示し続けてくれるので、とても心強い地図です。
スマホを向けている方角が解る
紙飛行機マークが、スマホの向いている方向を表示します。
道が不安な時は、少し歩いて見ると紙飛行機が移動するから分かり易いです。
例えば、目の前に道が2本ある時はどっち?ってなるから、とりあえず一方を歩いて見みます
すると紙飛行機が歩いた通りに移動するので、地図全体を見れば合ってるのか間違っているのかが判
るという訳です。
スマホ地図の注意点
電池が無くなったり、落として壊れたら使えないということです。
そこは機械ですからね、どうしようも無いと言う訳ですよ。
電池の問題は、充電器さえ持っていれば問題はありません。
ただし、気温が低い場所では電池の消耗が激しいので、これも要注意です。
低温に弱い電池
これは想像が出来ないほど、早く無くなるので要注意ですよ。
スマホだけでは無く、充電器も同じ状態になる訳で、満充電しておいても使おうと思ったら電池が減
っていた、という状況になってしまいます。
なので、そのままザックに入れないで、保温性のあるフリース素材で出来たポーチなどに入れてから
更にシールパックなどに入れて、持ち歩く事をおすすめします。
スマホは体の近くに
スマホ自体の電池消耗を減らすためには、体に近いところ(胸やズボンのポケット)に入れて持ち歩
くと、体温で少しは温かいから消耗も少なくて済みます。
地図のコースタイムは標準値
紙地図もスマホ地図にも、コースタイムが表示されています。
その時間は、あくまでも標準値として、参考にする程度にしてください。
十人十色、みんな歩くスピードは違いますから。
それなのに、コースタイムが何分だから、と考えるのは危険なことです。
地図のコースタイムとは
40~50代で日帰りもしくは小屋泊装備を背負って数人のグループで歩いた場合、を想定して書か
れている事が多いです。
スマホ地図は、その地図を使っている人のタイムを平均した数値を採用しているようです。
だから早い人が多く使っていれば、コースタイムは短くなるし、遅い人が多く歩いていれば、コース
タイムは長くなります。(YAMAPとヤマレコ地図の違いはココ)
どちらにしても、あくまでも目安でしかありません。
自分の歩行スピードを知ろう!
地図にコースタイムが書かれていますが、出発してから何分経ったから今はココに居る、という判断
は間違っています。
他人と自分は違うので、普段から自分の歩くスピードを、把握しておく必要があります。
自分が歩いた時間を知る方法
道標や地図に書かれている目標物を通過する時には、メモをするか写真を撮りましょう。
次の目標物に着いたら、またメモか写真を撮ります。
するとその区間を、何分で歩いたかが判りますね。(写真には時刻が入るから)
何度か、色々な道を歩きながら記録して、自分が1kmを何分で歩けるのか、平均値を出します。
そしたら、地図に書かれているコースタイムと比べて見ましょう。
平地と急な道も理解しておく
1kmを、平地なら何分で急な登りだったら何分掛かる、下りではどうなのか・・・などを把握して
おく必要もあります。
これが判らなければ、地図のコースタイムを見ても、意味が無いことになるからです。
地図で見る登山レベルって?
地図やガイドブックには、登山レベルとして★などが表示されています。
また、初心者・初級者・中級者・上級者という、分け方もされていますね。
では、そのレベル分けは、どうなっているのかを見てください。
初心者とは
山歩きを始めたばかりの人で、入門者とほぼ同じと考えます。
歩き方や、服のレイヤリングなどの知識が、まだ身について無い人を指します。
初級者とは
歩き方やレイヤリングなどの知識を、一通り身に着けた人を指します。
まだまだ経験不足なところは有るので、初心者に近い状態ですね。
山雑誌で表記されているレベル分け
山行(さんこう)日数で分けられています。
初心者・・・30日以下
初級者・・・30日~300日
中級者・・・301日以上
これはホント、およその目安でしかありません。
だって、この日数だけ歩いたら上の級に上がれる、というものでは無いですからね、登山って。^^
技術と経験
レベル分けには、技術と経験が加わります。
標高1000m以下の山しか行った事が無い人が、301日以上歩いたとしても、中級者以上にはなれない
ということは、理解できますよね。^^;
1日に何時間歩けるか、岩場が有る場所を安全に歩けるか、重いザックを背負って歩けるか。
ファストエイドの知識はあるか、ザレ場・ガレ場を歩く知識と技術はあるか、などなど様々なことを
考慮して判断する必要があるからです。
日本アルプスと他の山とは違う
低山を歩いている初級者と、北アルプス・南アルプス・中央アルプスなどの、高山で言う初級者とは
また違いがあります。
それは、標高の違いによる環境の違い、登山道の違いなどがあるからです。
レベルは目安
レベル分けも内容が様々なので、地図やガイドブックに記されているレベルは、あくまでも目安とし
て、自分の体力や経験・技術なども考慮して、登る山を選ぶ必要があります。
ちなみに私は、高山では中級者レベルで、低山なら上級者レベルに入ると思います。^^
私の経験は➡『登山記録』から見ることが出来ますので、お時間がありましたらご覧ください。
地図は登山の必需品です
登山をする場合、紙の地図とスマホアプリの地図の両方を、持っていくことを強くおすすめします
地図は、持っているだけでは使えません。
色々な本やネット上のサイトを見て、知識を蓄えることも必要です。
私の記事も、参考にしてください。^^
紙地図とアプリ地図を使いこなすことで、より多くの山へ行く事が出来るようになります。
安全第一で、楽しい登山をする為の必需品なので、忘れずに持って行ってください。
地図読みの勉強に良い本があります。
ぜひ読んで見てくださいね。
コメント
[…] 『地図は登山の必需品』というところでも書きましたが […]