雄大な山々を眺めながら、澄み切った空気の中を歩く登山。
日頃のストレスから解放され、心身のリフレッシュに最適です。
しかし、美しい景色の裏には、高山病というリスクが潜んでいます。
高山病は、標高が高い所で起こる体の反応です。
頭痛や吐き気、呼吸困難といった症状をおこすことがあります。
今回は、高山病について詳しく解説し、安全に登山を楽しむための対策をまとめました。
この記事を読めば、高山病への理解が深まり、安心して登山を楽しむことが出来ます。
高山病とは
急激な高度の上昇によって、体が低酸素状態に陥り、様々な症状を引き起こす病気です。
高山病の種類
高山病には、急性高山病・高高度肺水腫・高高度脳浮腫 などがあります。
急性高山病とは
標高が高く低酸素濃度の場所へ、急激に移動した時に起こる、全身症状の総称です。
軽症型の高山病として、もっとも多く良くみられます。
症状
頭痛・ふらつき感・食欲不振・吐き気と嘔吐・疲労・脱水・怒りっぽい 等です。
これらの症状は、高度をあげてから6~10時間以内に現れます。
リスク回避方法
リフト・ゴンドラ・ロープーウェイなどで、一気に標高をあげてしまった時に、頭痛を起こし易いです
急性高山病のリスクを回避する方法は、ゆっくり登ることです。
なので、途中で乗り換えがあった場合は、直ぐに乗り換えず、次の便に乗るなどすると良いでしょう。
高高度肺水腫とは
標高2500m以上の高さまで急に登った場合、その24~96時間後に肺に水が溜まる病態です
高山病で死亡する人のほとんどが、この高高度肺水腫です。
症状
安静時の呼吸困難・咳・歩行困難・胸部圧迫感・脈が早いなどがあります。
さらに重度になると、チアノーゼ・重度の疲労感・血痰を伴う咳 などが現れます。
対処方法
数時間で急速に進行する事もあるので、早めの診断と入院治療が必要です。
高高度脳浮腫とは
脳が水分によって浮腫を起こす、重篤な状態です。
なので放置すると、昏睡や死に至る可能性もあります。
症状
脳が膨張し脳を圧迫するので、頭痛・錯乱・歩行時のフラつきなど運動失調が現れます。
対処法
高高度脳浮腫とは、高山病の中で状態が1番悪化したことを示す状態です。
ここまで酷くなる前段階で、適切な対処が必要です。
高山病を予防するには
名前の通り、高山病は標高が高いところで起こる症状です。
なので、標高が高い山へ2か月以内に行って無い方は、特に注意が必要です。
標高に身体を慣らす
2000m前後の山へ、月に1回以上は行くようにして、標高の高さに体を慣らしましょう。
その時は、ゆっくり歩き、水分補給をこまめにし、休憩を取りながら登ります。
また、標高が高い所にある登山口へ向かう場合は、一気に登山口へ向かうのは良く無いです。
途中のコンビニなどで30分くらい停滞して、徐々に標高をあげて行くのがおすすめです。
特に、ゴンドラやロープーウェイを使う場合は、一気に標高を上げてしまうので、症状が出易いです
なので、駅に着いたら30分~1時間ほど休憩し体を慣らしてから、乗るようにしましょう。
高山病になりやすい人
何度も富士山へ登っている人でも、その時の体調などにより高山病になってしまうこともあります。
既往症がある人
呼吸器系や心血管、偏頭痛、過去に高山病を経験したことがある人、などはリスクが高くなります。
高年齢の人
また、年齢が高くなると身体の機能が衰え、肺活量が減少したり動脈硬化も進んでいます。
なので、若者より高齢者の方が高山病になりやすいと言えます。
その他
体質や健康状態、貧血の人、肥満の人、運動不足の人、睡眠時無呼吸症候群の人も注意が必要です。
登山前の飲酒や睡眠不足でも、リスクは高くなるので、体の健康には十分気をつけましょう。
食事に気を付ける
登山の前日から、登山中に飲食するものも気を付ける必要があります。
一度にお腹いっぱいまで食べるのでは無く、消化しやすいものを少量ずつ良く噛んで食べましょう
食事のポイント
・カフェインを含まない飲みもんを多く摂る
・アルコールや鎮静剤は控える
・体内のガスを生み出す飲食物(炭酸飲料や豆類など)を避ける
・3000m以上の山へ登る場合には、予防薬の内服も推奨されています。
予防薬
高山病初期症状に効くものを並べました。
中でも煎じて飲む漢方薬は効能に、高山病と書いてあります。
こまめな水分補給とエネルギー補給
疲れや脱水により、高山病リスクが高くなります
なので、登山中の水分補給やエネルギー補給は、こまめに行いましょう。
疲れて来ると食欲が落ちる場合が多いので、ゼリー飲料を持って行くのも良いですね。
ゼリー飲料なら、水分とエネルギーや栄養分が摂取出来て、つるんと喉通りも良いからです。
高山病になってしまったら
もし、高山病の症状が出てしまったら、どうすれば良いのかも知っておきましょう。
高度を下げる
標高が高い所で起こることなので、高度を下げることが最も効果的な対策方法です。
様子が変だと感じたら、高度を下げてから身体を休めましょう。
もう少し登ったら小屋があるから・・・という考え方は危険です。
登れば標高が高くなり、症状が悪化する可能性もあるからです。
動くのがつらい時は
どうしても、息苦しくて動けない!などの時は、その場でしばらく休憩しましょう。
この時、横になってはいけません!
なぜなら、体を横にすると酸素を取り込み難くなってしまうからです。
その場で停滞する事によって、高度順応ができるので30分~1時間くらいは留まりましょう。
そして、ゆっくり体を動かしたり、深呼吸をしながら時間を過ごします。
下山する
呼吸がし易くなって、頭痛やふらつきなども無くなったら、下山してください。
楽になったからと登山を続けると、再び高山病の症状が出て、更に悪化する可能性が高いからです。
『高山病になりやすい人』の項目で書きましたが、過去に高山病になったことがある人、が入ってます
だから、症状が治まって楽になっても、酷い症状が出ないために、今回は下山しましょう。
下山した後
症状が酷かった人は、ドクターの診察を受けることをおすすめします。
既に元気になっていた場合でも、見えない体の中で症状が進行している場合もあるからです。
特に、頭痛や息苦しさ、咳などが続いている人は、念のために受診してください。
高山病対策グッズ
高山病のような症状が出始めた時に、早めに対処することで症状を和らげることが出来ます。
また、何か変なんだけど?という時に、体内酸素濃度を計測することで、早期発見する事もできます。
そこで、登山にも持って行きやすい大きさの酸素ボンベとパルスオキシメーターをご紹介します。
まとめ
高山病は、適切な対策をとれば予防できる病気です。
登山を楽しむためには、事前にしっかりと情報収集を行いましょう。
その上で、安全対策を講じることが大切です。
この記事が、あなたの安全登山に役立てば、幸いです。