「低い山だから大丈夫」そう思って、気軽に足を運ぶ低山。
しかし、低山だからと言って油断は禁物です。
この記事では、低山の登山を楽しむ上で、知っておきたい色々な知識や持ち物を解説します。
それは、注意点・持ち物・潜む危険性などについてです。
安全に、そして快適に低山の登山を楽しむヒントを満載でお届けします。
既に、低山をかなり経験している方も、これから登山を始める方にも、お役に立つ内容です。
ぜひ、参考にして頂きたいと思います。
低山だからといって油断は禁物
地図を見て、コースタイムを見て、この山に行こう!と決める方が多いと思います。
でも、登る山を決める時は、コースタイムを見るだけでは不十分なのです。
コースタイムの落とし穴
コースタイムが、どのようなものかを理解していないと、大きな落とし穴に落ちてしまいます。
まずは、コースタイムがどのように決められているかを、知る必要があります。
地図の作成者やガイドブックの作成者によって、基準は多少変わっているようです。
「山と高原地図」では、40~50代(60代)の登山経験者を元にしています。
また、2~5人のパーティーで、夏山の晴天時を基準に設定されています。
なので、若くても経験がない人や、50代後半や60代の人。
また、筋力のある人・無い人、などによって、実際に歩いた時のタイムは変わってくるのです。
だから、コースタイムだけ考えて山へ入ると、自分には無理だったという事も起きて来るのです。
天候の変化
登山に行く場合は、数日前から天気予報を確認する必要があります。
でも、『山の天気は変わりやすい』と良く言われるように、本当に急変する事が多いです。
天気予報では、雨の確率10%以下で晴れという予報であったとしても、油断は大敵です。
急に雲が湧き出て、雨が降って来たり風が強くなって、気温が下がって来たり。
いつ、どんな状況になるかを、キッチリ予想することは不可能に近いです。
体力消耗
低山と言うのは、思っている以上にアップダウンのきつい所が多いです。
とっても下手だけど、雰囲気は分かって頂けると思います。^^;
図を見ると、標高が低くても、小さい』山は、アップダウンが急なのです。
どれだけ急なのか緩いのかは、地図の等高線を見れば分かります。
等高線の幅が狭ければ『急』、広ければ『緩いアップダウン』ということです。
だから、自分の体力に合わせた登山道を、選択する必要があると言う訳です。
低山の登山に必要な持ち物
これから書くものは『低山だから必要』という訳ではありません。
登山をする時は、必ず必要という物ばかりです。
しかし、これを『低山だから』『直ぐに下山するし』と、準備を怠ると危険度が上がってしまいます。
なので、どんな低山でもコースタイムが短くても、必要な物であると認識してください。
地図とコンパス
スマホアプリの地図と紙地図の2種類があります。
この地図に関しては、別の記事『地図は登山の必需品』で解説しているので、参考にしてください。
アプリを使っていても、紙地図の必要性も読んで頂ければ理解できると思います。
特に、低山は道標や登山道が整備されていない場所が多くあります。
道標が有っても、朽ちて落ちていたり読めなかったり。
また、草木が生い茂って登山道が見え無かったり。
さらには、林業の人がつけた踏み跡やリボン目印に、惑わされたりします。
なので、自分で地図を見てコンパスを使って確認する、これが重要になるのです。
レインウェア
命を守るウェアとも呼ばれるレインウェアは、ピーカンに晴れていても持ち歩いてください。
上にも書いたように、山の天気は変わりやすいからです。
また、体を濡らすことは低体温症のリスクが高くなります。
低体温症については『低体温症とは?』の記事で解説しています。
これは、本当に命を守るために必要な知識なので、必ず読んで頂きたいです。
また、雨が降らなくても防寒対策として、行動中や休憩中に着ることが出来ます。
ヘッドライト
山の中で宿泊する予定の無い人は、持って無いことが多いと思います。
しかし、低山でもコースタイムが短くても、必ず持って行ってください。
例えば、道迷いや捻挫などが起こった場合、予定通りに下山できませんよね。
山の中は日暮れが早くて、夏でも15時頃には薄暗くなってきます。
冬では、14時ころでも薄暗くなってしまうのです。
薄暗くて良く見えない中を歩く事は、とっても危険です。
なので、ヘッドライトが必要だということです。
もしヘッドライトを持っていたら、何かが起こった時にも冷静に行動することが出来ます。
だから、必ず持っていきましょう。
モバイルバッテリー
重さがあるし、日帰りだからと持ち歩かない人が多いようですね。
でも!スマホは電池で動く機械です。
電池が切れたら使えません!
もちろん、アプリの地図も見る事が出来なくなってしまいますね。
そして、登山中には景色や花々やキノコなど、多くの写真を撮ると思います。
この、写真を撮るということは、かなり多くの電池を消耗します。
更に、ご存じの方もいらっしゃると思いましすが、電池は低温で消耗が激しいです。
気温が低い時期など、何も使っていなくてもドンドン減って行きます。
だから、モバイルバッテリーも、必ず持って行ってください。
持ち運ぶ時は、キルティング生地やフリース・ボアなどの袋に入れておきましょう。
また、さららにチャック付きの袋に入れることも、お忘れなく。
これは、低温による天地消耗を抑える目的と、雨に濡れることを防ぐ目的があります。
そして、この袋にヘッドランプを一緒に入れて置くことをおすすめします。
なぜなら、ヘッドランプも電池で点くようになっているからです。
予備の食べ物と水分
おやつやお昼ごはんとは別に、火を使わなくても食べれるものを、1食分持っていきましょう。
これは、非常用というだけではありません。
山頂で、お料理をしてご飯を食べようと思っていたら、急な雨でバーナーが使えなかった。
こんなことは、良くあることです。
そんな時、おやつの羊羹やせんべいだけ食べて、我慢して下山するとエネルギー不足になります。
エネルギー不足を『ハンガーノック』と言いますが、ビックリするほど急に体から力が抜けます。
歩く力も気力さも、無くなってしまうのです。
これでは、安全に下山することが出来ませんよね。
また、道迷いや怪我などで、予定より時間が掛かってしまう場合もあります。
そういう『何かあった時のため』を考える必要があるのが、登山なんです。
1食分、ペットボトル1本分は、持ち帰るくらいの気持ちで、多めに持って行きましょう。
救急セット
『ファーストエイドキット』と呼びます。
登山道は、凸凹している所が多いので、転んだ時に手や膝を着いて怪我する事が多いです。
そんな時に、素早く処置するための『山の中の救急箱』それがファーストエイドキッドです。
このセットは、楽天市場などでも売っています。
こちらの『ファーストエイドキッドは登山で使う救急箱』という記事に詳しく書いています。
また、普段から薬を飲んだりつけたりしている人は、自分専用のセットを作る必要があります。
市販品には、飲み薬や塗り薬が入って無いからです。
その事については『ファーストエイドキッドは自分用にカスタマイズする事が大事』で解説してます
合わせて読んで頂き、『自分用の救急箱』を作り持ち歩きましょう。
低山に潜む危険性
上の項目でも触れていますが、低山は高山と比べると、整備されていない所が多いです。
それに伴って、高山には余り無い危険が潜んでいるのです。
1つ1つ解説していきますね。
道迷い
道標や登山道が、しっかり整備されていない所も多いのが低山です。
また、低山は林業の方々の仕事場であることも、多いですよね。
仕事のために作った道や、木に巻き付ける目印のテープが多く存在します。
目印のテープには、白や黄色を使っている場所が多いですが、たまに赤やピンクも存在します。
赤やピンクのテープは、登山道の目印であると認識している人が多いですよね。
それで、テープを信じて進んでしまい、道に迷うケースも多発しています。
また、低山では道標が全く無いところだって、存在するということをお忘れなく。
滑落
狭い道や細尾根が多く存在します。
また登山道の整備も、不完全な所が多いので、道が崩れて滑落するケースもあります。
足場の確認はもちろんですが、人とすれ違う時の注意も必要です。
狭い道でのすれ違いマナー
登山道は、登り優先という暗黙のルールがあります。
しかし、登りの人は疲れている事が多く、上で待たれていると辛いこともあります。
そんな時は、「お先にどうぞ」などと声をかけあって、安全な場所ですれ違うようにしましょう。
どうしても狭い道で、すれ違わなければならない場合も出てきますね。
その場合は、斜面に片足を乗せて体を斜面に近づけるようにします。
そうすることで、すれ違う人は道幅を十分に使えて、安全に歩けるという訳です。
1番きを着けて欲しいのは、ザックの存在です。
すれ違う際に体を動かすことで、ザックが歩いている人に当たって、その拍子に滑落する。
この事故は、かなり多く起きていることを理解しましょう。
実際に、私も被害に遭いました。
幸い、数歩落ちただけで無傷でしたけどね。
野生動物
山は、元々が野生動物の住処です。
そこへ人間が入り込む訳なので、動物が『出て来た』という言い方は少し変だと思います。
そうは言っても、登山中に熊やイノシシに遭遇すると、怪我や命の危険を伴うこともあります。
熊鈴をならして、動物に人間がいることを知らせましょう。
動物は怖がりなので、人間の存在を知ったら近寄ることは無いでしょう。
ただし!子熊を連れた母熊や、人間の存在に気付かなかった熊、里へ出て来たことがある熊は別です
熊対策については『熊鈴・・・熊に遭遇した時の対処法』の所で解説しています。
また、熊が近づかないようにするための、スプレーをザックなどに掛けて置くのも良いと思います。
体調不良
登山はハードなスポーツなので、疲れから体調不良を起こすことも多くあります。
低山において、高山病は出にくいのですが、熱中症や低体温症は起こりやすいです。
最低でも、30分歩いたら飲み物を飲んだり、エネルギー補給をする、などが必要です。
私は、もっと頻繁に水分を摂っています。
女性の中には、トイレが近くなるから余り飲まない、という方もいますね。
その問題を解決するためには、飲み物の選択と飲み方が大事です。
山での飲み物
カフェインを含む飲み物は、利尿作用があるのでトイレが近くなります。
お茶やコーヒーや栄養ドリンク類、ですね。
なので、トイレが近くなる人は麦茶やルイボスティーなど、ノンカフェインの物を飲みましょう。
そして飲み方としては、喉が渇いたらゴクゴク飲む。これはNGです。
一度に多くの水分を摂ると、体に吸収しきれない分が尿として出て行きます。
この時に、体内の塩分やミネラルも一緒に流してしまうので、熱中症になりやすいのです。
飲み物を飲むときは、数分歩いたら、坂を登ったら、汗が出にくくなったら、等のタイミングが◎
喉が渇いて無くても、一口二口と飲むのがベストです。
そうすれば、飲んだ分は汗になりトイレが近くなりにくいです。
また、熱中症予防にもなる飲み方です。
食べ物
体が疲れると、胃の働きが弱ってきます。
だから、行動食や昼食として食べるものに、気を付ける必要があります。
消化が良いもの、糖分が多すぎない物、植物繊維が多すぎないもの、などがおすすめです。
そして、念の為に胃腸薬を持って行くと良いと思います。
低山で登山を楽しむためのコツ
最初にもお伝えしましたが『低山だから』『コースタイムが短いから』という考え方は捨てましょう。
どんな山へ行く時も、準備・装備・計画は必要です。
事前に情報収集をする
登る山の、天気・標高・コースいタイム・難易度・登山道の様子、などを調べましょう。
よっぽどマイナーな山で無い限り、ネット上では行った人が情報をあげています。
写真があったり動画があったりで、山の様子を見る事ができます。
また、アプリ地図や紙地図を使って、コースタイムや難易度もしっかり確認しましょう。
ネット状にある情報の中で「何時間で歩けた」などは、私感なので見ないようにしてください。
鵜呑みにすると、痛い目に合うのは自分なのですから。
その人の体力や技量までは、書かれていませんよね。
ネットの情報で見るべきところは、登山道の様子です。
服装選び
低山でも、山は山。
普段着の吸汗速乾素材のものでは、登山には通用しないことが多いです。
体を濡らすと言う事は、低体温症のリスクが高くなると、上の方で書きましたね。
汗ビッショリになっても、肌はドライな状態を保たなければ危険です。
だから、肌に直接着るウェアは、特に登山用として売られている物をおすすめします。
そして、暑い夏場であってもウィンドブレーカーなど、体を守る上着を持って行きましょう。
山の中の風は、想像以上に冷たいです。
汗をかいた体を、冷やさないことが重要です。
また動きやすさも重要なので、十分なストレッチ性があるパンツを選びましょう。
誰かと一緒に行く
登山者が多く行きかうような人気の山なら、何か起きた時にも助けてもらうことができます。
しかし、滅多に登山者とすれ違わないような山の場合は、何か起きた時に孤独です。
大怪我をしても、道に迷っても、だれも知恵を授けてくれないし、力も借りられません。
だから、登山上級者になるまでは、誰かと一緒に登山を行うことをおすすめします。
登山上級者と言うのは、何が起きても自己解決できる知識と技量を持った人のことです。
もし、お友達に上級者がいたら、一緒に登山を行って色々と教えて貰うと良いですね。
無理の無い計画を立てる
あの山へ行きたい、ここまで行きたい、そう思う気持ちは良く分かります。
しかし、遭難者のデータを見ると、疲労による行動不能で救助された人が非常に多いです。
だから、地図のコースタイムをそのまま信じずに、自分に合わせて計画することが重要です。
その為には、普段から自分がどんな道だったら、1kmを何分で歩けるのか。
ということを、把握しておく必要があります。
私の場合は、特に急な登りが無ければ、2kmを1時間~1時間10分で歩けると把握しています。
急な登りが有った場合は、1kmを1時間です。
このように、自分のペースを把握するためには、登山を行いながら距離と時間の記録を取ることです
私は、良く写真を撮ります。
分岐・道標・急な所を登る前・登り切った後、などなどです。
スマホ写真だと、時間まで記録されるので、自分のペースを把握することが出来るという訳です。
自分のペースを把握していないと、『無理の無い計画』を立てることは難しいですからね。
まとめ
低山の登山は、初心者さんにも行いやすい登山です。
自然の中で気分もリフレッシュ出来て、とても良いと思います。
しかし、高山でも低山でも、山は山。
安全に楽しむためには、事前の準備と知識や装備が必要です。
私は、登山関係の色々な記事を書いています。
それらも参考にして頂き、あなたの安全登山の一助となれたら幸いです。
コメント
水分補給の方法、同じだったので良かった。熱中症対策にもなるんだね。
ニュースで知ったんだけど、遭難した人がおみやげとして持っていたマヨネーズが食料の代わりになりお腹も減らなくて助かったんだって。何日遭難したかは覚えてないんだけどどんな山でも余分に食料は持つべきだなって思ったよ。
あ~! それ私も見ました!
でも、マヨネーズを持って行くって発想は無いですね。(^0^)
はい、食料も水分も『多め』が大事です。^^