雨の日の登山は、晴れた日と比べて危険度が高くなります。
なので、初心者はさらなる注意が必要です。
それは、濡れた登山道や滑りやすい木の根っこ、岩・視界不良など様々なリスクが存在するからです。
また体が濡れることで、低体温症のリスクも増大します。
そのため、雨に対応できる知識と装備、歩く技術が必要なのです。
今回は、雨の日の登山に潜む危険性や注意点。
そして初心者でも安全に楽しむための、必須装備について詳しく解説します。
ぜひ最後まで、お読みください。
雨の日の登山に潜む危険性
滑りやすい登山道
傾斜した登山道や粘土質の土壌は、雨によってさらに滑りやすくなります。
木道や木の根っこ、落枝の危険性
濡れた木材は非常に滑りやすく、転倒のリスクが高まります。
気の根っこは、踏まないように注意して歩くことが必要です。
でも、下の画像のように落枝が多い所では、避けて歩く事は非常に困難で、足を滑らせてしまいます
濡れた岩場のリスク
岩の材質で大きく違いはありますが、表面が濡れると非常に滑りやすくなります。
登る時はもちろんですが、先に足を着く必要がある降りる時は、更なる注意が必要です。
視界不良の問題
雨や濃霧で視界が悪くなると、道標を見落としたり分岐を見落としたりと、道迷い事故のリスクが
多くなります。
川の増水による危険性
沢の横に登山道があったり、沢を渡渉する登山道がある場合は、特に注意が必要です。
雨によって水位が急上昇し水が溢れてきたり、渡ることが出来なくなってしまう場合があるからです
落雷のリスク
山では麓より積乱雲の発生率が高いです。
雲が増えてきたら空を注意深く観察してください。
もし積乱雲を発見したり雷鳴が聞こえ始めたら、速やかに安全な場所を探して避難してください。
この時、トレッキングポールを持っている人は、体から離れた場所に置きましょう。
また、木からは2m離れるのが良いとされていますが、樹林帯の中では難しいですね。
それでも、出来るだけ木から離れた場所を見つけましょう。
そして体を丸くしてしゃがみ、手で両耳を塞いでください。
この時に注意する必要があるのは『両足をくっつけること』です。
落雷した時の電流は、地面を走ります。
なので、足が離れていると電流が流れやすくなってしまうからです。
また、お尻や手も地面に着けないようにしてください。
姿勢を低くするために寝そべてしまい、死亡事故になったケースもあります。
落雷は続けてやってくる
1度落雷があると、次に落雷があるまで数秒の時間がある、と言われている方もいらっしゃいますが
それは完全な間違いであることが、実証されています!
雷雲が通過するまで、低い姿勢を保ったまま耐えましょう。
避難場所では壁から離れる
山小屋・避難小屋・大きな岩陰、全ての場所においても、壁や柱からは体を離してください。
これも、電流が伝わってくるのを防ぐためです。
天候チェックと計画の見直し
雨の日の登山は、色々な危険がある事はお分かり頂けたと思います。
なので、リスクを避けるためには、事前にしっかり天気予報を確認する事が重要です。
天気予報は、TVで見る一般的なものでは無く、登る山の天気予報を確認してください。
日本気象協会が発している『tenki.jp』では、自分の登る山を簡単に見つけることが出来ます。
また『てんきとくらす』は、さらに細かくて、〇〇百名山など以外の山も表示されています。
確認する事
大気の不安定さ
天気予報で確認するのは、『雨が降るか降らないか?確率は?』だけではありません。
1番の注意点は、大気が不安定になっていないかどうか、です。
大気が不安定になっていると、積乱雲の発生率が高まり、雨や雷が鳴りだすと酷く荒れる場合が多い
からです。
特に怖いのは、『爆弾低気圧』です。
私は1度だけ遭遇したことがありますが、台風の暴風域に入ったみたいな荒れ方で、気温は一気に下が
り真冬並みの寒さになります。
非難小屋に逃げ込みましたが、小屋が潰れそうでした。
雨が降り出す時間
降り出す時間が分かれば、その時間を避けるような計画を立てることが出来ます。
地図で登山道を確認
沢の近くをあるくのか、渡渉する場所があるのか、エスケープルートはあるのか、等を確認しておきま
しょう。
エスケープルートと言うのは、『目的地までの間にあり下山できる道』のことです。
疲れや怪我、病気や天候の悪化で、登山を予定通りに進められなくなった場合に、出来るだけ早く下山
する事が出来る登山道のことです。
予定変更も考える
色々調べた結果、危険があると感じた場合は、別の山に変更したり、その日は登山を辞めるなどの判断
をくだすことも必要です。
雨の日登山に必要な装備
防水・透湿性能の高いレインウェア
高機能のレインウェアとは、どういうものかなどを解説した記事『登山に欠かせないレインウェア』が
あるので、参考にして頂きたいと思います。
防水性の高い登山靴
下の写真のように、タンとアッパー部分が繋がっている物がおすすめです。
ゴアテックス素材などであっても、この部分が繋がって無いと、水が靴の中に侵入してくるからです
またソールはグリップ力が高い、などと謳っているものを購入しましょう。
グリップ力が高い靴は、かなり滑り難くなるからです。
トレッキングポール
トレッキングポールの先端に付いているキャップを外すと尖っているので、この先端を滑る路面に突き
さすようにしながら歩くと、滑る中でも安全性が高くなります。
まとめ
雨の日の登山は、危険が伴うということをご理解頂けたと思います。
だから、雨の日は『登山をしない方が良い』という訳ではありません。
雨に濡れた木々や苔は、とても美しく晴れた日には見ることの出来ない光景です。
なので、安全を第一に考えた上で、適切な装備を整えて挑むことが大切です。
しっかりとした知識を持ち、万全の態勢で雨の日の登山を楽しんで頂きたいと思います。