登山をする時には、適切な水分補給が極めて重要です。
体力と集中力が、ものすごく必要となるので、疲れを癒すためにも必要なのです。
そんな、水分補給の重要性や具体的な方法について、詳しく解説します。
水分補給の重要性
登山中の水分補給は、安全に登山を行うためのとても重要な要素です。
特に登山中は体力消耗が激しく、汗を大量にかきますね。
その為、水分補給が不十分だと熱中症などのリスクが高まります。
熱中症以外にも、脱水症・高山病・血液ドロドロ・運動機能の低下・むくみ、など。
登山中の水分不足は、悪いことばかりです。
必要な水分量
多くの人が悩んでいると思うのが、どれくらい飲み物を持って行ったら良いの?
ではないでしょうか。
多くの山関係サイトでは、おおよその目安として計算式を発表しています。
(体重kg + 荷物kg)×5 ×行動時間 =必要な水分量 となっています。
例えば、体重50kgの人が6kgのザックを背負って、5時間歩いたとすると
50+6=56×5=280×5=1400 と出ますね。
約1.5Lの飲み物が必要だという計算です。
計算通りにはいかない
ところが、人間には個性があるので計算通りでは不足することも多いです。
例えば、良く汗をかく人、喉が渇きやすい人、すごく暑い日、寒い日。
また、急登が多い登山道、平坦な道が多い登山道、樹林帯の中、森林限界。
などなど、条件が変われば必要量も変わるという訳なんです。
自分に必要な量は経験で覚える
自分には、どんな山の場合はどれくらいの水分量が必要なのか?
これは経験した上で、決めていくしか方法がありません。
なので、計算上の水分量+もう1本(予備)を持ったうえで行動してみてましょう。
こんな感じの山では多かった、こっちの山では少なかった などが見えてきます。
注意:普段からあまり飲まないから少しでいいやぁ。
これは非常に危険です。
やっぱり足りなかった、と言っても山の中では補給でき無いからです。
飲み方
飲み物の飲み方にも、基準なるものがあります。
それは、1時間に500mlを飲む というものです。
しかしこれも、条件によって変わってくるので、あくまでも『目安』としてくださいね。
飲み方としては、1度にゴクゴク飲むのでは無くて、一口二口を頻繁に飲むと言うのが良いです。
分かり易く言うと、喉の渇きを感じる前に飲む これが基本です。
私の場合は、登っている時に息切れしたら直ぐに飲む。
キツイ所を登ったと思ったら飲む。
こんな具合に、ちょくちょく飲んでいます。
一度に多く飲むより、吸収が良くてトイレが近くならないように感じていますよ。
何を飲む?
飲み物は何が良いのかも悩むところだと思います。
やっぱり、スポーツドリンクが1番良いですね。
スポーツドリンクには、水分・糖質・電解質が含まれるため、水分補給に適しているのです。
塩分補給の適量
水分を飲んで汗をかくと、体内の塩分濃度が低くなるから、梅干しを食べてるよ
そうですね。梅干しにはクエン酸も含まれているので、疲労回復にも良いですね。
ただ、塩分を摂り過ぎると、逆に喉が渇いてしまいますね
この塩分補給量の基準値は、水1Lに対して塩分を1~2gとなています。
もし梅干しを食べた場合、その梅干しの塩分含有量は何gかが分からないですよね。
なので、梅干しの食べ過ぎには注意しましょう。
そんなところでも、適切な量で作られている、スポーツドリンクが良いということなんです。
スポーツドリンク嫌い!
スポーツドリンクの独特な味が嫌い!と言う人も多いですよね。
また甘い飲み物が苦手な人にとっては、かなり甘い飲み物だと感じます。
実は私も、甘さとトロミが苦手だから、スポーツドリンクは飲まないんです。
自分で簡単に作れる
以前TVで見たのですが、スポーツドリンクと同様の物が自宅で作れるんですよ。
水筒に、水と砂糖(蜂蜜などの糖分でも可)と塩を一つまみ入れて混ぜるんです。
これが、自家製スポーツドリンク、だと言っていました。
ただ、TVで表示された割合通りに作ったら、味気なくて美味しく無かったですけどね(笑)
私は蜂蜜レモン
疲れやすい私は、クエン酸も摂りたいので、蜂蜜レモンドリンクを作って持って行きます。
酸っぱい味が大好きで、レモンをたっぷり入れるから、主人には「酸っぱ過ぎる」と言われますが。
クエン酸は疲れに効果的で、蜂蜜はパーフェクトフードと呼ばれるほど、栄養価が高いんです。
蜂蜜には、アミノ酸・ビタミンB群・ビタミンC・ミネラル・ポリフェノールなどが含まれています。
また、砂糖と比べるとカロリーも低いので、気にしている方にもおすすめという訳なんです。
1番の良さは、甘さも酸っぱさも自分好みに作れるという事ですね。
適さない飲み物
水分補給なら、何を飲んでも良いという訳ではありません。
運動中の水分補給には、適さない飲み物もあります。
それは、お茶やコーヒーなどカフェインの入っているものです。
カフェインは利尿作用があるので、トイレが近くなり体から水分を出してしまいます。
なので、休憩中に少し飲むだけにして、行動中は避けた方がよいでしょう。
飲み物の入れものは?
水分を入れるものは、トップ画像にもあるように様々ですね。
これはもう、完全に自分好みで良いと思います。
ただペットボトルのまま持って行くのは、出来れば避けて頂きたいです。
え?なんで?
空になったペットボトルは、軽くてポケットから落ちやすいからです
わざと捨てている人もいるのか?というくらい、山の中で非常に多く見かけます。
水筒なら、落ちにくいし飲み終わったからって、捨てる人は居ませんよね。
だから、スポーツドリンクも粉から作る物や、大きなペットボトルを買って水筒に入れて行きましょう
プラティパス
トップ画像の他には、プラティパスと呼ばれる袋状の物もあります。
軽いし空になったら落ち畳んで持ち帰れます。
ザックに中に入れておいて、チューブを出してそこから飲み物を吸い出すものもあります。
水筒は1個だけ持って、予備の水は袋に入れて持ち運ぶなど。
このプラティパスは、テント泊や小屋泊で自炊する人などが、多く使っています。
ただし、プラティパスは洗浄しにくいのと乾きにくいというデメリットがあります。
ナルゲンボトル
トップ画像の右手前に写っているものです。
耐熱温度が、100℃ ~ -20℃ と頑丈なボトルです。
広口なので、飲み物を入れるだけでなく、行動食のお菓子などを入れて持ち運ぶ人もいます。
保温力や保冷力は無いので、猛暑や極寒の時以外の出番が多いです。
また寒い時期には、沸かしたお湯を入れて湯たんぽ代わりにする、という使い方も出来ますよ。
軽量で保温・保冷できる水筒
真夏の暑い時は体を冷やすためにも、冷たい飲み物を1本は持って行くのが良いです。
また冬の寒い時には、山頂などで止まっている時に、温かい飲み物が欲しくなります。
なので、保温も保冷も出来る水筒を、最低でも1本は持って行くことをおすすめします。
トップ画像で、後ろに写っている2本です。
保温力も保冷力も、たいがい6時間後の温度を表示しています。
6時間持てば、登山中に飲む分としては間に合うと思います。
保温力・保冷力の高いボトル
左のものは、6時間後の保温が68℃以上で保冷は10℃以下です。
右の山専ボトルと言われるものは、6時間後でも80℃を保っています。
なので、カップラーメンを作ることが出来ちゃうんですよ。
また24時間たっても60℃以上を保つので、寒い時には体が温まって疲れも癒されます。
山専ボトルは登山用
登山で使うことを前提に考えて作られているので、落としても壊れない頑丈さも持っています。
落とした時に凹みやすい底には、シリコン製のカバーが付いています。(取り外し可)
また、手袋をはめたままでも滑らないように、上部にもシリコン製のリングが付いています。
夏は熱中症予防に冷たい飲み物を、冬は低体温症予防に温かい飲み物を持って行きましょう。
経口保水液もあると安心
夏は暑いから登山は行かない!と言う人もいますが、夏にしか見れない景色もあるので少し残念。
高山へも行かれて、登山の季節と言われる夏ですが、脱水症対策を考える必要があります。
水分を飲んでいても、大量に汗をかいてしまった場合、脱水症を起こすこともあるからです。
脱水症の症状
1,大量の汗と異常な喉の渇き(飲んでも飲んでも満たされない)
2,めまい・吐き気・汗が出なくなる・重苦しくなる
3,脱力感・動きの鈍り・イライラする
4,手足の震え・ふらつき・頭痛・体温上昇・呼吸が荒くなる
5,呼吸困難・チアノーゼ・錯乱・言語不明瞭
などなどありますが、上から下へ悪化していった時の症状を書きました。
登山などでは、意識を失ってしまったら命も危険になります。
酷くなる前に、少しでも変だと思ったタイミングで、対処してください。
その時に、スポーツドリンクよりも早く体に浸透する、経口補水液が良いのです。
経口補水液は、スポーツドリンクより飲みにくいですよね。^^;
ゼリー状の物も販売しているので、1つはザックに入れておきましょう。
登山前から始める
私の記事で『快適に歩くための・・・』というのがあります。
そこの下の方にある『動ける体のために』という項目でお話しているのですが。
登山口に着くまでの間(約1時間前)に、水分を500mlとエネルギーになる食べ物を摂っておく
そうすると、バテにくくて楽しく歩けますよ。
これは、私が実践していることで効果も実感しています。
そしてこのことは、熱中症対策としても役に立つことが『山と渓谷オンライン』に書かれていました
それくらいに、水分補給が大事だという事なんです。
もし飲み物が足りなくなったら
私は縦走した時に、経験したことがあります。
想定外の事が起こって、体力を物凄く使ってしまったのです。
そこから抜け出した時、酷い喉の渇きに襲われて、残量を考えずに飲んでしまいました。
まだ何時間も歩かなければならない状況で、飲み物が足りないと言うのは怖かったです。
歩きながら、周りに沢が無いか必死で探しました。(水たまりまで探しましたよ)
残念ながら、飲めるものは何も無かったんですけどね。
飲み物が無い登山と言うのは、脱水症状も出てしまい、すごく苦しくて辛かったです。
だから、飲み物は余分に持ち歩いてくださいね。
小屋で買う
山小屋があったら、飲み物を買う事ができます。
価格は、ペットボトル1本が、¥500とかです。^^;
沢の水って飲める?
ハッキリ言いますけど、生水は飲めません。
バーナーを持っている場合は、5~10分ほど煮沸すれば飲むことが出来ます。
その理由は、自然界の動物が持っている細菌です。
見た目は透き通っていて綺麗な山の中の水ですが、水質検査や浄水はされていませんね。
だから、動物が持っている細菌や病原菌が、含まれている可能性があります。
例えば、動物が上流で糞尿をしたかも知れません。
もしかして、上流には動物の死骸があるかも知れません。
だから、絶対に生水は飲まないでください!
最近では、手を洗った後に殺菌効果があるウェットティッシュで拭く事が推奨されているほどです。
なので、顔を洗う事も止めた方が良いとされています。
浄水器
そうは言っても、人間は水が無ければ生きて行かれません。
そこで登山にも持って行かれる浄水器があるので、ご紹介しますね
500mlのペットボトルにして1万本分も、浄水することが出来る浄水器です。
水を入れたボトルに付けて、反対側の飲み口から飲むだけです。
手入れ用の注射器も付属しています。
これは、家庭用の浄水保冷ボトルと同じ作りになっています。
フィルター1個で、200Lをろ過することが出来ます。
ボトルは柔かいので、プラティパスと同じように小さく畳めてコンパクトに持ち運べます。
こういった浄水器があれば、水が無くなった!!と言うときにも安心です。
もちろん災害時にも使えるので、『一家に一台』あると良いですね。
まとめ
登山において水分補給は、ただ喉の渇きを癒すだけでは無く、脱水症状を防ぐために重要。
という事が、分かって頂けたかと思います。
最初は、上記の計算式に当てはめて、最低限必要な水分量+1本を持って出かけましょう。
飲むものについても、登山口を入ってから下山するまで、ずっとスポーツドリンクは飽きます。
また、糖分で口の中がベタベタして、心地よくいられません。
なので、休憩中に飲む分はお茶など、サッパリした物が良いでしょう。
さらに、夏場は脱水症になってしまった時のことを考えて、経口補水液(ゼリー)を持ちましょう
また、もし飲みものが不足してしまった場合に備えて、浄水器も持って行くと安心ですね。
そして、暑い時期には保冷効果がある水筒に冷たい飲み物を持って行き。
寒い冬には、保温効果がある水筒に温かい飲み物を持って行くこともおすすめします。
カップラーメンやコーヒーを作るだけなら、バーナーなど無くても山専ボトルがあれば十分です
皆様が、少しでも快適で楽しい登山が出来ることを、願っています。
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