大自然の中で過ごす特別な体験、それがテント泊です。
晴れている夜の満点の星空は、日常生活では味わえない感動があります。
しかし、いざテント泊を始めようと思っても、何をどうしたら良いか分からない事が多いですね。
そこで、この記事ではテント泊デビューを考えている方に向けて、詳しく解説します。
この記事を読んで、是非テント泊デビューをして頂きたいです。
テント泊の魅力
テント泊では、自然に囲まれて美しい景色や星空を眺めることが出来ます。
夕暮れ時の、雲や山々が赤く染まる美しさ。
朝は、雲海が広がる中から太陽が輝きながら昇って来るのを見ると、感動の涙が溢れます。
小屋泊では叶わない、プライベート空間を確保できるのも、テント泊の魅力です。
必要な物
テント泊では、衣食住の全てを自分のザックに入れて、登らなければなりません。
その為にはザックの容量も、日帰り登山用より大きい物が必要です。
テント泊に適したザック容量
必要なものを全てコンパクトなタイプで揃えたら、40ℓでも1泊なら出来ます。
しかし、パッキング技術も必要になってくるので、おすすめは50ℓ以上だと思います。
それは、テント泊するような山は標高が高くて、真夏でも日が暮れると冷え込むからです。
そのため、ライトダウン・フリース・ソフトシェルなどのアウターを持つ必要があります。
ライトダウンやソフトシェルは、コンパクトになりますが、フリースは嵩張るからです。
テント泊用ザックの選び方
重いザックを背負った時には、肩に物凄い負担が掛かってしまいます。
この負担を少しでも減らすために、容量が多いザックにはウエストベルトが付いています。
腰骨の位置で留めて、ザックの重量を支えるためのものです。
ウエストベルトは、単にベルトだけのものとポケット付のものがあります。
また、ショルダー部分や背面のクッション性や通気性を見ることも、とても重要です。
雨蓋付がおすすめ
ザック本体に雨が侵入することを防ぐために、上部に付いているものです。
ポケットになっているものと、単に布が被さっているだけのものがあります。
この雨蓋がある事で、ザックの容量を増やすことが出来るのです。
上部右の画像を見ると分かると思いますが、本体の入り口部分は別布で巾着式になてます。
この別布部分にまで荷物を詰め込んでも、雨蓋が上から覆うので容量が増やせるのです。
また雨蓋がポケットになっていると、更に多くの物を入れられて便利です。
テントの種類
テントには、シングルウォールとダブルウォールの2種類があります。
また、それぞれに自立式と非自立式があります。
シングルウォールとダブルウォールの違い
ウォールとは壁ですよね。
なので文字通り、壁が1枚か2枚なんかという違いです。
シングルウォールのメリットとデメリット
メリットは、上から被せるフライが無い分、重量が軽いということです。
デメリットは、結露が付きやすい・前室が無いので靴も中に入れなければならない。
そしてダブルウォールと比べると、保温性も低く寒さを感じます。
ダブルウォールのメリットとデメリット
内側のテントとフライと言う外側の布で構成されています。
そして、この2枚に隙間が出来るので、テント本体に結露が付き難いです。
さらに、2枚あることで保温性も高く、風雨にも強くなっています。
フライがあることで前室が作られ、靴を置く場所が出来ます。
また、テントの出入り時に雨や露が内部に入りにくいです。
そして、雨が降っていても前室で、調理をすることも出来るのです。
自立式と非自立式の違い
文字通り、簡単に立つか立たないかの違いです。
自立式は、テントポールを使うことで、形が作られてしまうものです。
一方、非自立式はペグ(杭)やガイライン(ロープ)で地面に固定しないと、自立しないものです
設営は、自立式の方が簡単で素早く行え、非自立式は慣れが必要です。
重量だけを考えると、ポールが無い分で非自立式方が軽くてコンパクトです。
スリープ式と吊り下げ式の違い
テント本体に、ポールを通すためのトンネルがあるのがスリープ式です。
吊り下げ式は文字通りで、テント本体に付いている器具を、組み立てたポールに引っかけます。
メリットとデメリット
スリープ式のメリットは、居住空間が広くなることです。
吊り下げ式は、設営時間が掛からず早く終わります。
デメリットは、スリープ式の場合、テントのトンネルへポールを通す時に、コツが要ることです。
長いトンネルを通すので、途中で引っかかることがあるのです。
そして、ポールは差し込み式になっているので、引っ張ると接続部分が外れてしまいます。
なので、もし途中で引っかかたり接続部分が外れた場合は、ちょっと苦労しちゃうんですよね。
吊り下げ式のデメリットは、ポールとテントとの間が空いてしまうことです。
これによって、空いている分だけ居住空間が狭くなってしまう、ということです。
下の画像は、左がスリープ式で右が吊り下げ式です。
寝具(シュラフ)
シュラフは、テント泊用の布団です。
羽毛・化繊綿・羽毛と化繊の混紡など、色々あります。
シュラフの選び方
シュラフには、『限界使用温度』が定められています。
この温度までなら、命は保たれるという温度です。
また『快適温度』の表示もあり、その温度より気温が高い場合は、暑いと感じてしまいます。
なので、テント泊をする季節や山の気温に合わせて、選ぶ必要があるのです。
左の物は、冬でも使える限界使用温度がー7℃で、快適温度は10℃
中央の物は、限界使用温度ー3℃で、快適温度は7~12℃
右の物は、限界温度がー3℃~8℃で、快適温度は15℃~22℃ となっています。
なので、この数値から左は秋~春先用、中央はスリーシーズン用、右は春から秋用という感じです
テントマット
テントの床は、周りの素材より若干厚みがある程度なので、マットが必要となります。
種類は、大きく分けると2種類です。
空気で膨らませるタイプと、折り曲げてあって広げるだけで使えるものです。
また、空気で膨らませるタイプには、口で息を吹き込むものと、ポンプタイプのものがあります。
メリットとデメリット
この3つは、自分の好みで選んで良いと思います。
どちらのタイプにも、厚さの違いがあるので、テント場や気温に合わせて選ぶのが良いでしょう。
また、膨らませるタイプは、膨らませる時も収納する時も、わずかですが時間がかかります。
そして、折りたたみタイプは、ザックの中に収納できず外付けになるので、注意が必要です。
クッション性は、どちらも厚みによって大きく変わります。
さらに、厚いものは嵩が大きくなるのは、当然ですね。
クッカー&バーナーとガス缶
テント泊でも小屋で食事を摂る人もいます。
でも、せっかくのテント泊なのですから、外で風を感じ景色を眺めながら、ゆたりしたいですよね。
フリーズドライを使って、山ならではの食事を楽しんだり。
生の肉や野菜を持って行き、調理して下界と同じ美味しい食事を食べたり。
どちらにしても、クッカー(鍋)とバーナー(五徳部分)とガス缶が必要です。
クッカーとガス缶やバーナーについては、他の記事で詳しく解説しています。
『山で温かいご飯が食べたい!』を参考にして頂きたいと思います。
絶対に忘れないように
それは、カトラリーと汚れ物を拭くためのキッチンペーパー、ごみ袋です。
アルファ米には、袋の中にスプーンが入っていますが、他の物を食べる場合はカトラリーが必要です
また、山では鍋や食器、カトラリーなどを『洗う』ことが出来ません。
小屋の外に水道があったとしても、食器や鍋を洗うのは禁止の所がほとんどです。
その理由は、排水がそのまま山へ流されるからです。
まれに、歯磨きOK。食器洗いOK。と言う所もあります。
でも!『まれに』ですよ。
だから、汚れ物は紙で拭き取って持ち帰るのが、テント泊の常識です。
あえてキッチンペーパと書いたのは、ティッシュなどより厚みがあって、しっかり拭けるからです。
また、飲みきれなかったラーメンの汁なども、キッチンペーパーに吸わせて持ち帰れます。
ウォータータンク
テント泊をする時は、食事を作ったり翌日の飲み物を用意するために、水を買います。
ペットボトルの水も売っていますが、下界の倍以上の価格がするため、タンクを持参しましょう。
検索すると色々出てきますが、登山で使う場合は耐久性が高い物を使うことをおすすめします。
それは、持ち運びの時に丸めて、ザックの中に入れるからです。
また、水を入れた後は、自立するボトルの方が便利です。
おすすめは、プラティパスというブランドの、プラティパスボトルです。
左が1ℓで右が2ℓのものです。
テント場から水場または小屋が近い場合は、何度か買いに行っても苦ではありません。
でも、離れた場所に水場や小屋が有る場合、行ったり来たりするのは、疲れた体で大変です。
なので、2ℓのものを使っている人が多いです。
その他
他の物は、必須では無いのですが、あったら便利だし快適に過ごせるというものです。
ランタン
テントの天井には、ループやフックが付いています。
そこにランタンを吊るすと、テント内全体が明るくなって、寝るまでの時間を快適に過ごせます。
ただし、夜更かしは他人の迷惑にもなります。
遅くても21時には、ランタンを消しましょう。
ちなみに、朝はランタンを使わないのが、言わずと知れた常識になっているようです。
と言うのも、朝早く2時や3時に出発をする人もいますが、5時や6時に起きたら良い人もいます
ランタンでテント全体を明るくしてしまうと、寝ている人が目を覚ましてしまうこともあるからです。
そんな時は、ヘッドランプを使って行動しましょう。
サンダルorスリッポン
テント場についたら、疲れた足を休めるために、サンダルに履き替えると楽に過ごせます。
100均で売っているような、軽~いもので十分です。
周りを歩き回りたいひとは、脱げにくいスリッポンが良いですね。
ただし、ザックに入れて運ぶので、潰しても平気な素材や場所を取らない大きさが良いですね。
トイレットペーパーorポケットティッシュ
最近では、トイレっとペーパーが備え付けられているトイレの方が多いです。
しかし、古い小屋などでは無い場合もあるので、ポケットティッシュを多めに持って行きましょう。
また、芯を抜いてトイレットペーパを持って行く人もいます。
トイレだけでは無く、食器や鍋を拭いたり、鼻をかんだりと用途が広くて便利だからです。
テント場のマナー
小屋によってルールが定められている場合もあるので、チェックインする時に伺っておきましょう。
積んである石は動かさない
テント場の端っこなどに、イイ感じに石が詰まれていたり、並べられていることがあります。
「座るのにちょうど良いやぁ」って、動かすことは絶対にやらないでください。
それらの石は、雨が降った時にテント場に広がらずに、流れる道を作っている場合が多いからです。
また、設置場所を区分けしている場合もあります。
埋もれている石を掘り出さない
ちょうど、テントの真下に石があって邪魔。
そう思っても、埋もれている石は掘り起こさないでください。
小さなものだったら問題は無いと思いますが、石を出した後に穴が開いてしまうのは困ります。
だって、雨が降ったらその穴に水が溜まって、土が流されてしまうからです。
自分が居る時は晴れているから大丈夫、そんな勝手な考えはNGです。
テント場は、常に小屋番さんが見回って、整備してくださっています。
また、多くの人が入れ替わりで使用する場所でもあります。
ゴミを外に出さない
ゴミ袋は、前室であっても外はNGです。
山の中は、動物の住処である事を忘れてはなりません。
匂いを嗅ぎつけて来た動物が、食べ物の味を覚えてしまったら、必ずまた来てしまうからです。
その動物が熊だったら・・・小屋やテント場は閉鎖されてしまいます。
これは、上高地の小梨平テント場で実際に起こったことです。
静かに行動する
多くの方は、疲れているし早朝に出発する人もいます。
なので、18時や19時には寝てしまう人も多いです。(私もその頃には寝ています)
グループで着た人や、ラジオが好きな人などの、話し声や音はとても五月蠅いです。
特に、テントの中で話していると、反響するのか大きな声に聞こえてきます。
また早く出発する人が、ごみ袋をガサガサする音も、とても耳障りです。
遅くまで起きている人、深夜に出発する人は特に、『音』に気を配ってください。
復元しておく
ペグの穴やその他、テントを張ったことで変化したことは、元に戻しておきましょう。
場所によっては、岩があってペグが刺さらない場合もあります。
そんな時は、ガイラインを岩に巻き付けて留めることがあります。
ガイラインとは、テントを固定するロープのことです。
この使った岩も、その場所に初めから無かったものは、元の位置に戻しましょう。
テントの手入れ方法
雨に降られず、霜で濡れることも無かったテントは、綺麗にみえますね。
でも、テントには非常に多くの虫が寄ってきます。
また、風が吹けば土ぼこりも飛んできます。
なので、使ったテントはお手入れが必要なのです。
テント撤収前に
時間があったら、テントの外側を全体に乾拭きしておきましょう。
次に、ガイラインを外しフライを外したら、入り口のファスナーを開けます。
テントを持ち上げて、中にある細かい砂や石などを払い落とします。
これは、朝みんながやってることですよ。
両手で頭の上に持ちあげて、バサバサと縦に振ると落ちてきます。
テント撤収
1番忘れやすいのが、ペグを抜く事です。
土に突き刺しているので、見えにくくて抜き忘れてしまうことがあるんです。
必ず、最後にペグの本数を数えたり、ペグを打った場所を再確認しましょう。
フライやアンダーシートが濡れている場合、近くの茂みや木に掛けて干している人を見かけます。
この行動は、自然保護の面からNGなので、絶対にやらないでください。
そこに生えてる草や木は、動くことが出来ません。
テント場には、毎日のように違う人がテントを張ります。
皆が同じように引っかけたら、木や草はいったい何回、傷めつけられる事になるのでしょうか?
お分かりですよね。
家に帰ってから
テントを洗う
お風呂場を使って、シャワーを掛けながら汚れを洗い流しましょう。
内側のテントは、さほど汚れていないので、床面を綺麗にするだけでも十分です。
アンダーシートは、かなり汚れているので、柔らかいスポンジで擦り洗いしましょう。
洗濯機の脱水機能は使えないし、手で雑巾絞りするのも生地を傷めてしまいます。
優しく押して絞ったあとは、湯舟の淵に掛けてしばらく水分を落とします。
ある程度、水が切れたらベランダなどへ日陰干しにします。
お風呂場が狭い・干す場所が無い、と言う方は、濡らして絞った雑巾で全体を拭きましょう。
アンダーシートだけは、拭いただけでは汚れが落ちきれないので、バケツを使う等して洗いましょう
テントを組み立てる
ある程度乾いたら、部屋の中やベランダなどで、テントを組み立てます。
角の部分などを、しっかり乾かすためです。
その時、シングルウォールの人はテントの外側全体に。
ダブルウォールの人は、フライと内テントの裾部分に防水スプレーを掛けておくと良いですね。
しっかり乾いてから、専用の袋に入れるか、少し大きめの布袋に入れてしまいましょう。
普通のビニール袋は通気性が無く、カビやニオイが発生する原因になるので、布製の袋にしてください
部品を洗って乾かす
ペグとガイラインも、忘れずに洗ってしっかり乾かしておきましょう。
シュラフを干す
シュラフの中身が羽毛の場合は、つど洗わない方が羽毛が長持ちします。
ファスナーを開けて広げて、日陰で風通しの良い場所に干しましょう。
家のベランダは、日当たりが良すぎるので、いつも室内用物干しを使って部屋に干しています。
もし汚れてしまった場合は、ダウン製品を洗う専用の洗剤を使って、洗うことも出来ます。
シュラフの保管方法
ダウンは、押さえつけられていると痛みやすいです。
なので、購入した時に付属している、大きな布袋にふんわり入れて、湿気が少ない場所に保管です。
また使って無くても、数か月に1度くらいのペースで、室内干ししておくのも長持ちのコツです。
テントマットとの手入れ
1番汚れやすいのが、テントマットです。
なぜなら、その上でご飯を食べたり飲んだり、上にいる時間が長いからです。
帰って来たら、広げて硬く絞った雑巾で、表と裏も綺麗に拭きあげてから、乾かしましょう。
プラティパス
水を入れただけではありますが、もう1度良くすすいでから干しましょう。
すすぐとき、蛇口のお湯を使うと少し早く乾きます。
プラティパスは、直火や熱湯で無ければ耐えられる強さを持っています。
干すときは、日陰で風通しが良い場所にします。
直射日光が当たる所に、長く干していると劣化して素材が硬くなってしまいます。
干す時のコツは、良く膨らませて、最初は下向きで水滴が小さくなったら上向きに干すやり方です。
そうするのが、1番早く乾くという私の経験談です。^^
晴れていても、1日では乾かないことが多いです。
特に、湿度が高い時は、2~3日かかってしまうこともあります。
まとめ
テント泊する時は、数日前から天気予報をしっかり確認し、安全に行えるかの判断をしてください
予報では降水確率が低くても、雨が降ってくるのが山です。
雨が降った場合の事も想定して、タオルや着替えなどの用いをしましょう。
また、テント泊ように装備したザックは、とても重いです。
初めて行う前には、必要品を全て入れたザックを背負って、低山などで歩く練習をしましょう。
練習することで、重いザックを背負った場合の歩き方や、注意点などが自ずと分かります。
日帰りザックを背負った場合とは、全く違うので、その感覚をしっかり体に覚えこませましょう。
そして本番では、十分にきを付けながら、日帰りでは行かれない山々を楽しんでください。
山のルールやテント場でのマナーを守り、テントの中でくつろぐ時間を、味わってください。
日帰り登山や小屋泊では、味わう事が出来ない素晴らしい体験が出来るでしょう。
帰りはヘトヘトになると思いますが、下山するまで気を抜かないでくださいね。
私の記事が、素晴らしい体験の手助けになったら、私も幸せです。
行ってらっしゃ~い。^^
コメント
テント泊は数回しか経験していません。テントを所有している友人と行くのでお手入れとか全くと言って良いほど知りません。
気を付ける事がたくさんあるんですね。山小屋が無い所はテントが有れば行動範囲が広がって良いと思いました。とても為になりました。
テント経験ありなんですね。^^
わーこさん、今は、テントを張って良い場所は指定されています。
山小屋が無いから。この辺でテント泊しちゃおう!
ということは、出来ないんですよ。^^;
緊急事態の時は、別ですけどね。^^
あ、そうですね。緊急時はともかく勝手にテントを張るのは駄目だよね。
山小屋泊は人が多いと窮屈だし、テントはそれが無い分良いかな。
どちらも経験済みですがそれぞれの良さがあると思います。
そうですね。
何事においても、個人の好みがあるし、メリット・デメリットはありますからね。^^