登山前には、必ず天気予報をチェックする必要があります。
それは週間予報では無くて、街の天気予報でもありません。
自分が登る山の天気予報を、前日か当日の朝に確認する必要があります。
その理由は『街と山では標高も自然状況も違う』から、そして『山の天気は変わり易い』からです
今回は、天気予報を確認する必要性と、スマホで山の天気予報が見れるアプリのご紹介もします
ぜひ最後まで読んで、安全に登山が行えるように準備しましょう。
登山前に天気予報をチェック!
登山は自然の中で楽しむスポーツですが、自然は時に厳しく、天候の変化は登山の安全に大き
く影響します。
そのため、登山前に天気予報をチェックする事は、とても大切なのです。
チェックするのは登る山の天気
山の天気や気温と麓の天気や気温は、全く違うというのは良くあることです。
登る山がある地域の天気予報では無く、登る山の天気予報を確認してください。
チェックする項目
当日の天気 降水確率 風速 気温 雨雲レーダーで雲の動き まで見てください
登山中に怖いのは、強風 豪雨 雷 濃霧 降雪 です。
これらは、命に関わる事故に繋がるからです。
登山を決行するか中止するかの判断
具体的な指標
天気予報を見た時の具体的判断基準は?
降水確率50%以上 風速15m/s以上 気温が氷点下の時=これは初心者・初級者
さん向けです。
こういう状況になると、危険度がすごく上がってしまって、本当に命を危険に晒す事になるの
で、せっかく友達と約束したのに・・・会社の休みを取ったんだから・・・電車予約しちゃっ
たし・・・などの事は考えずに、命の危険という事を考えて『止める』という判断を下してく
ださい。
雨雲レーダーを見る
天気図で雲の流れと気圧の動きを見る
天気予報を見ると、天気のマークと共に7時~9時などと大まかに書いてありますね。
登山で2時間と言ったら4kmくらいは移動するので、雨予報の場合はどこで降って来るかが
判らず、行動予定を立てることが出来ません。
だから雨雲レーダーを見ながら、細かく時間を進めながら見ることが出来るから、13時10
分には降り出して14時20分には止む・・・などがハッキリ判ります。
これは、あくまでも予報であり『山の天気は変わり易い』という事実があるので、絶対にと言
う訳ではありませんけど、7時から9時 という表示よりは実際の天気に近いと思います。
でも雨雲レーダーなら、雲が高い位置にあるのか低い位置にあるのか、厚い雲なのか、薄い雲
なのかまで判りますね。
また雲の広がり方で、降っている時間の長さも想像できます。
降った場合は強く降るのか弱く降るのか、なども読み取ることが出来ます。
気温と風速について
気温は、標高が100m上がるたびに0.6℃ずつ低くなって行きます。
街中が25℃だったとしたら、標高3000mの山では7℃ということになります。
また風速1mで体感温度は約1℃下がります。
なので上の条件の場合、風速3mだったら体感温度は4℃と言うことになりますね。
これは晴れているのか、曇っているのか、雨が降っているのか、など条件が変われば数値も変
わってきますが、大体こんな感じという訳です。
天気予報の確認と判断が重要
ここまでで、どれだけ天気予報を確認する事が大事かお判り頂けたかと思います。
天気や気温によって、装備するものも変わってきますからね。
また、午後◌時から雨が降るという事が判っていたら、その前に下山を始めるなど行動計画も
しっかり立てることが出来ます。
具体的な指標で示した数値なら、行くのを止めるという判断も出来る訳です。
チェック項目の所で、登山中に怖いのは、強風 豪雨 雷 濃霧 降雪 と書きました
冬季以外に降雪は無いと思いますが、強風 豪雨 雷 濃霧 はいつの季節にも起こるこ
とですから、甘く考えないでくださいね。
爆弾低気圧
爆弾低気圧とは
爆弾低気圧とは、『中心気圧が24時間でおよそ24hpa以上低下する低気圧』のことです。
普段の天気予報では『急速に発達する低気圧』と言う風に言っているので、聞いた事が有る方も
多いと思います。
爆弾低気圧は1年を通して発生しますが、特に4月に多く発生しています。
春の暖かい南からの空気と、まだ冷たい北からの空気がぶつかるからです。
爆弾低気圧が発生すると何が起こるのか?
大型で強い台風が来た時と同じ状況になります。
暴風が吹き荒れて、立っているのも難しくなり、横殴りの激しい雨が吹き荒れます。
また気温が一気に下がって、半袖で丁度良かった時でも手袋をしても指先が動かなくなり、フリ
ースなどの温かい服を着ても、震えが止まらない程に寒くなります。
山の中で爆弾低気圧に遭遇した場合、身を隠す小屋や大きな斜面が無ければ、またレインウェア
や防寒着を持っていなければ、命を落とこともあります。
ここで私が遭遇した、とてつもなく怖い経験をお話しします。
私が経験した爆弾低気圧
5月6日の暖かい日でした
登山を始めて1年が経ったころの5月6日、埼玉県の三峰神社から雲取山荘に1泊して、東京都
の奥多摩へ降りるというコースを計画して歩きました。
歩き始めは天気が良くて、登りで暑かったので半袖になっていたほどでした。
途中で山岳警備隊の方と出会った時、「爆弾低気圧が発生したという情報が入りました。引き返
した方が良いかも知れません」と言われ、詳しく聞くと「直撃は無いかも知れないけど、これば
っかりは判らないです」と言われました。
後ろから歩いて来た男性は「テント泊だから止めます」と言って引き返しました。
私達は、まだ経験が浅く初めての小屋泊でワクワクしていました。
だから、気をつけながら(これが大きな判断ミスでした)行く事を決めたのです。
山岳警備隊の方からも「くれぐれも気をつけて」と言われました。
それからあまり時間が経たない内に、遠くで雷鳴が聞こえて来たので、雷鳴は近づくのか?
どっちの方向へ進んでいるのか、耳を澄ませて注意を払いながら歩きました。
すると、いつの間にか聞こえなくなったし、晴れ間も見えていたので安心してしまったのです。
初めての道を楽しく歩いていると、急に風が強くなりました。
初めての泊り登山なので、今では考えられないほど余計な物まで持っていたから、すごく大きく
て重いザックを背負っていました。
雨が降り出した
ザックが風に煽られてフラフラしてしまい、時にはストックで体を押えて立ち止まるほどの
強風になっていき、間もなく雨が降り出しました。
慌ててレインウェアを着て雨対策をしましたが、風に煽られ登山道から落ちそうになる事もあっ
たし、雨はドンドン強くなっていきました。
その頃、ちょうど避難小屋があったので中に入って通り過ぎるのを待つ事にしました。
避難小屋には、5人位のグループも避難していました。
小屋の中は風が遮断されてはいましたが、ドンドン寒くなっていったので、着替えに持ってい
た長袖やフリースを着こみましたが、それでも寒くて震えるほどでした。
小屋は、潰れてしまうのではないか?と思うほどに風で揺さぶられて、雨も滝のように屋根か
ら落ちていました。
極寒の風雨の中へ
どれくらいの時間が経ったのか・・・・
グループの人たちが「止みそうに無いし雲取山荘へ着く前に暗くなってしまいそうだから」と
風雨の中を歩き出しました。
私達もヘッドランプは持っているものの、まだ初心者で真っ暗な山の中を歩いた経験は無く、歩
く登山道も全く初めての所だから、真っ暗になったら動きが取れないと思い、怖かったのでグル
-プの人たちと一緒に歩く事に決めました。
ところが・・・・外へ出ると厳冬期のような寒さだったんです!!
私は手袋を2枚重ねていましたが、冬用では無かったので直ぐに指が動かなくなってしまい、靴
ひもがほどけても結ぶことが出来ず、主人に結んでもらったほどです。
ところが、いつも温かい主人の手も上手く動かない程に冷えていました。
風も雨も、もの凄く強くてストックを持っているのに真っ直ぐに歩くことが出来ない状況でした
死ぬかも・・・・私の頭をよぎった言葉です。
それから、どれくらいの時間が経ったのかは分かりませんが、急に風雨が収まり日が射して来た
んですよ、さっきまでの嵐が夢の中だったみたいに。
雲取山荘には、15時に着く予定だったのですが、到着したのは17時半を過ぎていました。
この日の事は、10年以上も前なので細かい所は忘れましたが、死を覚悟するほど怖かった事は
今でも忘れないし思い出すだけでも涙が出ます。
もし爆弾低気圧に遭遇したら
とにかく直ぐに、雨具を着て身を隠せる場所を探してください。
大きな岩陰・避難小屋・風が吹いて来るのと反対側の斜面へ降りる・・・などです。
太い木も倒れて来たり、枝が折れて落ちて来たりもするので、周囲に目をやり十分に注意しな
がら、持っている衣服を全て着こんでください。
もの凄い恐怖で、どの位の時間だったかを覚えていませんが、2時間は経っていなかったと思
います。
怖さで長く感じただけで、実際は1時間位だったかも知れ無いですが、判りません。
安全な場所に身を寄せる事が出来たのなら、その場から動かない方が良いと思います。
今では山の中でもスマホが使える場所は増えたから、もし電波が通っていたら近くの山小屋へ
電話して、自分の居場所を伝えておく事も大事だと思います。
天気予報の確認と判断が重要
これで、どれだけ天気を確認する事が重要なのか、判って頂けたかと思います。
天気予報は前日や当日に見るだけでは無く、1週間くらい前から変化を観察するのが良いです
しっかり見て、予測して GO か NO かを決めて欲しいです。
『山は逃げません』 命を落としたら登山どころでは無いですからね。
おすすめ天気予報アプリ3選!
天気予報アプリは、個人の好みが大きく分かれるところです。
だから絶対にコレが良い!!とは言い切れ無いので、それぞれを使って見て自分の好みに合
ったものを選ぶのが良いでしょう。
登山者の中には、2~3個のアプリを入れて、見比べてる人もいるようですよ。(^^)
日本気象協会公式の『tenki.jp 登山天気』
2021年8月5日に、登山地図アプリで有名なYAMAPと業務提携しました。
有料版(月額¥240)ではありますが、日本三百名山と人気の山を対象に麓から山頂まで
登山ルートに添った天気が判ります。
週間天気図 高層天気図 日の出・日の入り 登山服装指数
雷危険度 紫外線情報 など
日本気象株式会社の『てんきとくらす』
全国2700座の山の天気予報が分かる他、観光スポットの天気や健康予報まで表示されます
麓の街から高度別の天気や風向き・強さ・登山に適しているか否かまで図で表されています。
また北海道から鹿児島までの山名が表示されていて、名前をクリックするだけで山の天気が
表示されるようになっています。
クリック➡てんきとくらす
『そら案内』
日本気象協会が提供する気象情報を基にしています。
毎日の天気の他に、気象衛星から見た雲の様子や天気図・アメダス・台風情報など多くの情報
がチェックできます。
天気の移り変わりが文字で解説されていたり、気圧配置の解説などもあります。
Android版➡そら案内
iOS版➡パソコンでは開けないのでAppleのアプリが有るページをご案内
まとめ
山の天気・気温・体感温度・爆弾低気圧などについて書いて来ましたが、お判り頂けましたか?
だから、天気予報をしっかりと見る必要が有ると言うこと。
麓と山の天気や気温は違うこと。
山の天気は変わり易いこと。
天気予報のマークだけでは無く、天気図や雨雲レーダーなどを確認すること。
悪天候の山は、普段よりずっと危険度が高くなること。
これらを十分にチェックして、しっかり装備を整え安全で楽しい登山を行ってくださいね。
ちゃんと調べて出かけても、天気が急変することは良くあることです。
『山は逃げない』 『勇気ある撤退』 の言葉を忘れずに行動してください。(^^)