谷川岳は世界一遭難者が多い山、としてギネスに載るという、不名誉な記録を持っています。
でも、コースを選びロープーウェイを使えば、初級者でも登れる山なのです。
標高は、1977mという決して高い山ではありません。
それなのになぜ、これほど多くの事故が起き、命が失われたのでしょうか?
今回は、そんな谷川岳の光と影。
そして、安全に登山を楽しむための情報を、詳しくご紹介します。
谷川岳は世界一遭難者多い
谷川岳は、その美しい自然とは裏腹に『魔の山』や『死の山』と呼ばれています。
その理由は、多くの遭難事故・遭難事故死の数にあります。
死者数は、1931年に統計が開始されました。
すると、1980年までの50年間で、700人ほどが亡くなっていたのです!
まだ現在のような、優れた登山ギアやウェアが無かったことも、事故の多さに関係しているでしょう
岩壁を登るクライマーが多かった
まだ、登山道も整備されていなかった時代の話です。
血気盛な若者たちは、我先にと岩壁を登るルートを切り開いていました。
未開のルートを登り、競い合い、自分の名前を刻んだのです。
そんな1966年には、1年間で38人が亡くなりました。
この数字は、未開の岩壁を登るということの難しさを物語っています。
遭難者数の激減
未開のルートを登りつくしたクライマー達は、谷川岳を去って行きました。
また、時代の流れによって、谷川岳のクライミングが廃れたことにもよります。
しかし、ロッククライマーが全くいなくなった訳ではありません。
ギアやウェアの進化、情報が多くなったことも、事故が減った理由になりますね。
谷川岳で遭難者が無くならない原因を探る
危険なロッククライマーの事故は激減しましたが、今も遭難者は無くなりません。
なぜ、谷川岳では多くの遭難が発生するのでしょうか?
急峻な地形
谷川岳は、断崖絶壁や急斜面が多く、一歩間違えれば大事故に繋がる地形をしています。
特に一の倉沢は、その難度からロッククライミングの聖地とされていました。(上記内容に基づく)
しかし今は、一部のルートを除いてクライマーの姿を見る事は、無くなりました。

天候の急変
谷川岳は、日本海側と太平洋側の気候が交わる場所に位置しています。
だから、気候が非常に変更し易いのです。
ほんの数分で、晴天から暴風雨に変わることも、珍しくはありません。
なので、天候の変化に対応できる、装備が必要です。
登山者の経験不足
谷川岳には、色々なコースがあって、初級者から上級者まで楽しめます。
なので、ルートによっては難易度が高く、初心者には危険な場所もあることを理解してください。
各登山者が、自分の技術や知識に合ったルートを選ばなければ、命の危険を伴うということなのです
谷川岳の魅力
危険な一面を持つ谷川岳ですが、同時に多くの登山者を魅了する山でもあります。
四季折々の美しい自然
新緑の季節、花が咲き乱れる夏、紅葉の季節、雪に覆われた姿。
谷川岳は、どの季節も美しく、何度も足を運ぶ登山者が多くいます。



多様な登山ルート

・ロープーウェイの天神平駅から、谷川岳山頂登山コースを歩く、初級者コース
・土合口駅から、西黒尾根を登る上級者コース
・山頂を目指さず、初心者向けの、一の倉沢トレッキングコース
これらは整備された登山道ですが、山頂を目指すコースには、岩場や鎖場があります。
経験が浅い人には、危険を伴う岩場なので、他の山で練習してから歩きましょう。
なので、『初心者』では無くて『初級者』となっている訳です。
安全に登山を楽しむために
谷川岳には色々なコースがありますが、誰でもどこでも歩ける訳ではありません。
しっかり下調べをして、自分の技量に合ったコースを選びましょう。
また、初級者コースであっても、危険個所が無い訳ではありません。
絵地図を見て頂くと分かるように、谷川岳は切り立った山です。
景色や写真を撮る事に夢中になっていると、滑落や転落の危険がある山なのです。
そのために、しっかりした準備をする必要があります。
事前の情報収集
一週間前から、低気圧情報や谷川岳の天気予報を、しっかり観察しておきましょう。
また、最近行った人の投稿を見て、風の具合や気温の具合なども、チェックすると良いですね。
この時、1人の投稿を見るのでは無く、色々な人の投稿を見比べてください。
それは、晴れた日と曇りの日、雨が降った場合などで、大きな違いがあるからです。
さらに登山者の『個人差』もあるので、色々な情報を見ることが大事なのです。
まずは、谷川岳という山がどんな状況の山なのかを、しっかり頭に入れておきましょう。
適切な装備
自分が行こうとしている時期の谷川岳の状況が分かれば、おのずと必要な装備も見えてきます。
どんなウェアを着たら良いのか、どんな上着を持って行けば良いのか、等です。
手袋の厚さ、保温用の帽子やネックウォーマーは必要か?なども把握しましょう。
その他は、谷川岳に限った事では無く、登山をする時に必要な物を忘れずに持って行ってください
どの山でも必要な物、それは『地図』『コンパス』『ヘッドライト』『スマホ充電器』です。
言うまでも無く、レインウェアは必ずザックに入れてくださいね。
グループ登山
初心者はもちろんですが、初級者も単独行(ソロ)では無く、お友達やガイドと一緒が良いですね。
単独行は何かがあった時に、誰にも気づかれない恐れがあるからです。
また、怪我や病気などで動けなくなっても、助けてくれる人がいません。
『人気の山で登山者が多いから』と思っても、常時人が居たり見ている訳では無いからです。
経験者の同行
グループ登山であっても、初めて谷川岳へ登る時は、経験者に同行してもらいましょう。
経験が無い者同士では、先の道がどうなっているかも分かりませんね。
登った人の写真を見たとしても、それは部分的なものに過ぎないからです。
また地図読みが曖昧な場合は、道の状況を地図から読み解くことも出来ないでしょう。
この先は危険個所がある、道が狭いから休憩はここで取ろう、等は経験しているから分かる事です
緊急時の対応
『もしも』の時も、しっかり考えてシュミレーションしておくと安心です。
1、怪我をした時の応急処置方法。
2,具合が悪くなった時の対処方法。
3,ホイッスルが鳴るかどうか。
4,ヘッドランプは、電池切れになってないか
などを、予めしっかりチェックする事が大事です。
それは、いざと言う時に冷静に行動するために、必要なことだからです。
まとめ
谷川岳は世界一遭難者が多い山、と呼ばれていますが、美しくて眺めの素晴らしい山でもあります。
その反面、多くの遭難者を出す危険な山でもあります。
しかし、適切な準備と心構えがあれば、安全に登山を楽しむことも出来るのです。
谷川岳の魅力を最大限に味わうために、自然の厳しさもしっかり学びましょう。
登山に必要な物やレインウェアについて、レイヤリングについては、左の記事を参考にしてください